世界初、光ランダムアクセス量子メモリーの原理実証に成功 ~大規模集積量子メモリーやダイヤモンド量子コンピューターの実現に道~

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2022-07-29 横浜国立大学,科学技術振興機構

ポイント
  • ダイヤモンド中のスピン量子ビットを光、マイクロ波およびラジオ波を用いた画期的手法で高空間分解能かつ高忠実度に制御することに成功。
  • 誤り耐性型汎用量子コンピューターに不可欠な大規模集積量子メモリーや、ダイヤモンドを量子プロセッサーとするダイヤモンド量子コンピューターの実現に道。
  • 量子コンピューター、大規模量子ストレージ、量子中継器などがネットワーク接続した量子インターネットの構築に向けて突破口。

横浜国立大学 大学院工学研究院/先端科学高等研究院の関口 雄平 助教、小坂 英男 教授らは、ダイヤモンド中の窒素空孔中心(NV中心)からなるスピン量子ビットを、独自の手法で高空間分解能かつ高忠実度に制御することに成功しました。

従来の手法では、量子ビットとなる電子スピンおよび核スピンは、マイクロ波およびラジオ波によって量子制御されます。しかし、この手法では高忠実度の制御はできますが、空間分解能が低いため、集積化されたNV中心を個別に制御することはできませんでした。一方で、高い空間分解能を持つ光でスピン量子ビットを量子制御する手法も研究されてきましたが、低忠実度であることや、十分に高精度な制御ができないという問題がありました。

研究グループでは、光を量子ビットの選択的なアクティブ化、非アクティブ化のランダムアクセス制御に使用し、量子制御はマイクロ波およびラジオ波で行う新しい手法(光アドレス量子ゲート)を考案しました。これにより高空間分解能と高忠実度が両立できることを実験で実証しました。この成果は、ダイヤモンドを用いた大規模集積量子メモリーおよび量子プロセッサーのための中核技術として、量子コンピューター、量子通信の飛躍的な性能向上に寄与し、量子インターネットの構築に道を開きます。

本研究成果は、2022年7月28日(英国時間)に、Nature Portfolioが発行する「Nature Photonics」のオンライン版で公開されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) ムーンショット型研究開発事業 ムーンショット目標6「2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現」(プログラムディレクター:北川 勝浩 大阪大学 大学院基礎工学研究科 教授)研究開発プロジェクト「量子計算網構築のための量子インターフェース開発」(プロジェクトマネージャー(PM):小坂 英男 横浜国立大学 大学院工学研究院 教授/量子情報研究センター センター長)(課題番号JPMJMS2062)、JST 戦略的創造研究推進事業 CREST「量子状態の高度な制御に基づく革新的量子技術基盤の創出」(研究総括:荒川 泰彦 東京大学 ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構 特任教授)(課題番号JPMJCR1773)、日本学術振興会「科学研究費助成事業」(課題番号20H05661、20K2044120)、総務省「ICT重点技術の研究開発プロジェクト グローバル量子暗号通信網構築のための研究開発」(課題番号JPMI00316)による支援を受けて行われました。

詳しい資料は≫

<論文タイトル>
“Optically addressable universal holonomic quantum gates on diamond spins”
DOI:10.1038/s41566-022-01038-3
<お問い合わせ先>

<研究に関すること>
小坂 英男(コサカ ヒデオ)
横浜国立大学 大学院工学研究院 教授/先端科学高等研究院 主任研究者(兼務)/量子情報研究センター センター長(兼務)

<JST事業に関すること>
犬飼 孔(イヌカイ コウ)
科学技術振興機構 ムーンショット型研究開発事業部

嶋林 ゆう子(シマバヤシ ユウコ)
科学技術振興機構 戦略研究推進部 グリーンイノベーショングループ

<報道担当>
横浜国立大学 学長室 広報・渉外係
科学技術振興機構 広報課

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