急激に超高輝度となる天体が発生する瞬間を初めて捉えた

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2022-07-13 国立天文台

急激に超高輝度となる天体が発生する瞬間を初めて捉えた今回発見された天体について、提唱されている複数の起源を描いた想像図。(クレジット:東京大学Kavli IPMU) オリジナルサイズ(921KB)


すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラ「ハイパー・シュプリーム・カム」(以下HSC)を用いた観測で、通常の超新星をはるかに超える明るさを持つ超高輝度の天体が、発生直後に短時間で急激に明るさを増す様子を捉えることに成功しました。このような天体は、今後行われる広視野観測の有望な対象となります。

超新星爆発やガンマ線バーストのような突発天体が出現する方向は、あらかじめ知ることができないため、発生直後に捉えることは困難です。突発天体の起源を理解するためのさまざまな観測が行われた結果、これまで知られていなかった新しいタイプの突発天体が、数多く存在することが近年明らかになってきました。

2020年12月、すばる望遠鏡のHSCを用いて、短い時間間隔で広い視野を撮影する監視観測が行われました。この観測では多数の突発天体が発見されましたが、そのなかで、観測中に急激に明るさを増していく天体が捉えられました。後の追跡観測によって、これは通常の超新星の約50倍の明るさという超高輝度の天体であることが明らかになりました。このような特徴は、2018年に発見された特異な超新星「AT 2018cow」とたいへんよく似ていました。急激に増光するために発生直後に捉えることが難しく、このような天体はまだごくわずかしか発見されていません。

初期の明るさの変化は、天体の起源を理解するためにとても有用な情報となります。急激な明るさの変化から、この天体は非常に活動的なコンパクト天体が起源であることは確実です。その起源は、大質量ブラックホールによる恒星の破壊や、ブラックホールもしくは強い磁場を持つ中性子星が形成される現象などではないかと考えられています。

この天体は、発生直後には紫外線や青色の可視光線で非常に明るく、今後計画されている紫外線域での広視野観測の有望な対象となります。短い時間間隔で広い視野の観測を行うことで、種々の突発天体についての研究が飛躍的に進むことが期待されます。

この研究成果は、Ji-an Jiang et al. “MUSSES2020J: The Earliest Discovery of a Fast Blue Ultraluminous Transient at Redshift 1.063”として、米国の天体物理学専門誌『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に2022年7月12日付で掲載されました。

1701物理及び化学
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