水素混焼率35%での定格運転は国内初
2021-08-26 東邦ガス株式会社,三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社
東邦ガス株式会社(社長:増田 信之)と三菱重工エンジン&ターボチャージャ株式会社(社長:梶野 武)は、コージェネレーションシステム(以下、「コージェネ」)用のガスエンジン商品機を用いた都市ガス・水素混焼実証に共同で取り組み、定格発電出力、水素混焼率35%(体積比)での試験運転に国内で初めて(注1)成功しました。
本実証は、既にお客さま先に設置済みのコージェネに対し大幅な改造を加えることのない範囲で都市ガス・水素混焼運転を実現するための知見獲得を目的に、東邦ガス技術研究所(愛知県東海市)において、三菱重工エンジン&ターボチャージャ製ガスエンジン商品機を用いて行ってきたものです。都市ガス・水素混焼においては、異常燃焼(バックファイア(注2)、ノッキング(注3)、プレイグニッション(注4))の発生が課題となりますが、このたび空気と燃料の投入比率の調整等により、安定した燃焼状態での運転を確認しました。
両社は、更に水素混焼率を高めるための研究を継続し、水素利用技術の進展と水素社会の実現に貢献してまいります。
【試験運転で用いたガスエンジンの概要】
型式:GS6R2-PTK
定格発電出力(注5):450kW
周波数:60Hz
発電効率:42.0%
・都市ガスで運転した場合
・本製品は東邦ガスと三菱重工エンジン&ターボチャージャが共同開発したものです
(注1)東邦ガス調べ。
(注2)エンジンの吸気側に火が逆流する現象であり、エンジン吸気系の損傷につながる。水素は都市ガスと比べ最小着火エネルギーが小さいこと、 燃焼速度が速いことから、都市ガス専焼に比べバックファイアが発生しやすい。
(注3)点火時期が早すぎる場合や圧縮比が高すぎる場合に、混合気が自着火して燃焼室内の圧力が急激に上昇する現象であり、エンジン内部部品損傷の原因となる。水素は都市ガスと比べ燃焼性が高く、シリンダ内圧・温度が上がりやすいことから、都市ガス専焼に比べノッキングが発生しやすい。
(注4)通常の点火の前に、混合気が自着火して燃焼室内の圧力が急激に上昇する現象であり、エンジン内部部品損傷の原因となる。水素は都市ガスと比べ最小着火エネルギーが小さいことから、都市ガス専焼に比べプレイグニッションが発生しやすい。
(注5)今回、都市ガス仕様の定格発電出力で試験運転に成功。