日本での再資源化を視野に、国際的な資源循環の確立目指す
2021-05-24 新エネルギー・産業技術総合開発機構,株式会社アビヅ
NEDOは委託先である(株)アビヅとともに、タイ・バンコク近郊のリサイクル工場に電気・電子機器廃棄物(WEEE)の破砕・整粒から選別までを自動化したタイ初の一貫リサイクルシステムを構築し、有効性を検証する実証運転を開始しました。さらにタイ国内で処理できない有用資源を日本で再資源化する取り組みにも乗り出し、国際的な資源循環を実現することでアジア各国におけるリサイクルモデルの確立につなげます。
なお、本実証事業はNEDOとタイ工業省工場局が2019年9月13日に締結した基本合意書(MOU)に基づき、2022年2月末まで実施するものです。
図1 タイに構築した一貫リサイクルシステム
1.概要
タイでは経済成長に伴う生活水準の向上を背景に、電気・電子機器廃棄物(WEEE:Waste Electrical and Electronic Equipment)が増加する傾向にあります。一方でその回収や処理に関する法律は整備が追いついておらず、不適正な廃棄物処理が原因とされる作業員の健康被害や水質・土壌汚染などが課題となっています。このような背景のもと、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とタイ工業省工場局(DIW)は、2019年9月から2022年3月まで首都バンコクとその周辺地域でWEEEをリサイクルする実証事業※1に取り組むことに合意し、2019年9月13日に基本協定書(MOU)を締結※2しました。
そしてこのたび、NEDOは本事業の委託先である株式会社アビヅとともに、タイでリサイクル事業を手がける日髙洋行エンタープライズ(HDK)のゲートウェイ工場(チェチュンサオ県プレーンヤーオ郡)にWEEEの破砕・整粒から選別までを自動化した一貫リサイクルシステムを構築し、有効性を検証する実証運転を開始しました。これは日本の高度リサイクル技術を活用して構築したタイ初のシステムで、環境に配慮した適正なWEEEリサイクルシステムの確立を目指します。
図2 HDKのWEEEリサイクル装置全景
2.実証事業の内容
WEEEの破砕後に排出されるプラスチックやガラス、金属などの混合物(ミックスメタル)を対象に粒度や比重を選別し、銅やステンレス、アルミ、貴金属といった有価物を効率よく回収するシステムを導入、その有効性を検証します。さらに、タイ国内では処理できない金や銀などの貴金属と、鉛や亜鉛などの有害廃棄物の混合物を有用資源として日本で再資源化する取り組みも始めます。これにより国際的な資源循環を実現し、アジア各国におけるリサイクルモデルの確立につなげます。
併せて、日本の家電リサイクル法や小型家電リサイクル法を参考にしながら、タイに適した廃棄物処理に関わるガイドラインを策定する共同検討にも着手します。
- 【実証事業の実施体制】
- 委託先:(株)アビヅ
サイト企業:日髙洋行エンタープライズ
実証場所:日髙洋行エンタープライズ ゲートウェイ工場
図3 実証事業の実施体制図
【注釈】
- ※1 実証事業
- 事業名: アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業/海外実証/タイ王国バンコクにおける電気・電子機器廃棄物の国際循環リサイクルシステム実証事業
事業期間: 2019年度~2021年度
事業概要: アジア省エネルギー型資源循環制度導入実証事業 - ※2 基本協定書(MOU)を締結
- NEDOニュースリリース2019年9月13日 タイで電気・電子機器廃棄物のリサイクル実証事業を開始へ
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO 環境部 担当:上村、柳田
(株)アビヅ 事業本部営業部 担当:赤池、栗栖
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本、橋本