(Researchers develop new graphene nanochannel water filters)
2021/1/21 アメリカ合衆国・ブラウン大学
・ ブラウン大学が、グラフェンのナノチャネルによる分子ふるいを可能にする、垂直方向グラフェンメンブレン(VAGMEs: vertically aligned graphene membranes)を開発。
・ 重ねたグラフェンシートの間に形成される微細なギャップであるナノチャネルの配向を変えることで、水やナノスケール汚染物質をフィルタリングする有用な機能を実現した。
・ グラフェンのような 2D ナノ材料間に形成されるナノチャネルは、この 10 年間の研究対象課題となっている。ナノチャネルでの物質の成長・貯蔵に加え、分子ふるいに利用するナノ流体工学(nanofluidics)が新興している。
・ 積層したグラフェンシートでは、水平方向の長さ・幅に比べ垂直方向で薄いため、シート間のナノチャネルも水平配向となっている。この状態では液体が流れるチャネルの距離が長く、フィルタリングには適さない。
・ フィルタリング機能には、ナノチャネルをシートに対して垂直に配置することで、積層シートの比較的薄い鉛直高さを液体が移動することが重要だが、垂直配向のグラフェンナノチャネルを作製する効果的な方法が開発されていなかった。
・ 今回、その新手法を開発。引き延ばした状態の弾性基板にグラフェンシートを積層後、張力を解除して基板を収縮させ、グラフェンシートに山と谷の皺を形成させる。これに伴いシートとナノチャネルに傾きが生じるが、皺が多いほどナノチャネルがほぼ垂直に配向する。これをエポキシ樹脂で囲み上部と下部を取り除くと、材料全体でナノチャネルが開いた状態となる。
・ このようにして、水は透過させるが有機汚染物質や金属イオンの大きな分子を除去し、極めて微小な分子のみが通過できる短く狭いナノチャネルのメンブレンが完成する。
・ 同 VAGMEs の概念実証試験では、大きな有機分子のヘキサンを除去しながら水蒸気が容易に透過することを実証。産業・家庭用フィルターアプリケーションの可能性を視野に同技術の開発を継続する。
・ 本研究は、米国立環境衛生科学研究局(NEIHS)の Superfund Research Program が支援した。
URL: https://www.brown.edu/news/2021-01-21/vagme
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Controlling nanochannel orientation and dimensions in graphene-based nanofluidic membranes
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-020-20837-2
Abstract
There is great interest in exploiting van der Waals gaps in layered materials as nanofluidic channels. Graphene oxide (GO) nanosheets are known to spontaneously assemble into stacked planar membranes with transport properties that are highly selective to molecular structure. Use of conventional GO membranes in liquid-phase applications is often limited by low flux values, due to intersheet nanochannel alignment perpendicular to the desired Z-directional transport, which leads to circuitous fluid pathways that are orders of magnitude longer than the membrane thickness. Here we demonstrate an approach that uses compressive instability in Zr-doped GO thin films to create wrinkle patterns that rotate nanosheets to high angles. Capturing this structure in polymer matrices and thin sectioning produce fully dense membranes with arrays of near-vertically aligned nanochannels. These robust nanofluidic devices offer pronounced reduction in fluid path-length, while retaining the high selectivity for water over non-polar molecules characteristic of GO interlayer nanochannels.