自動車排ガス浄化触媒における触媒担体の役割
2021-01-04 京都大学
佐藤徹 福井謙一記念研究センター教授、細川三郎 学際融合教育研究推進センター特定准教授、寺村謙太郎 工学研究科同准教授、田中庸裕 同教授らの研究グループは、自動車排ガス浄化触媒である銅/アルミナ触媒が窒素酸化物(NOx)を効率よく除去するメカニズムを理論的に明らかにしました。
自動車排ガス浄化触媒は、自動車の排ガスから有害物質を除去する環境触媒です。通常の触媒には白金・ロジウム・パラジウムなどの希少元素が多量に用いられていますが、元素戦略上、希少元素フリーな触媒の開発が求められています。銅を触媒、アルミナ(酸化アルミニウム:Al₂O₃)を触媒担体とした銅/アルミナ触媒は、希少元素を用いていないにも関わらず、高いNOx除去性能を示すことが実験的に知られています。本研究グループは、この性能が担体と触媒の相互作用(アンカー効果)に起因することを見出しました。これは、上記のような希少元素以外でも、適切な担体と組み合わせれば高い性能を示し得ることを表しており、理論先導の新規な触媒の開発への応用が期待できます。
本研究成果は、2020年11月26日に、国際学術誌「Physical Chemistry Chemical Physics」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
研究者情報
研究者名:佐藤徹
研究者名:細川三郎
研究者名:寺村謙太郎
研究者名:田中庸裕