カーネーションの花にもカロテノイドの存在を発見

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今までにない鮮やかな黄色のカーネーションの品種開発が期待

2020-09-14 東京農工大学

  • カーネーションの花が、バラやキクの花の黄色の素であるカロテノイドを作ることを見つけました。
  • カーネーションを含むナデシコの仲間の花は、カロテノイドを作らないとされていた植物分類学上の常識を覆しました。
  • カロテノイドを作る新しい色合いのカーネーションの新品種の開発ができるようになります。

本研究成果は、Scientific Reports(9月16日付)に掲載されます。

Iijima et al. Esterified carotenoids are synthesized in petals of carnation (Dianthus caryophyllus) and accumulate in differentiated chromoplasts

URL: https://doi.org/10.1038/s41598-020-72078-4

報道解禁日:9月16日 18時00分(日本時間)

概要

カーネーションは地中海沿岸原産のナデシコ科ナデシコ属の植物で、切り花の生産量がバラ、キクと並んで多く、世界の三大花きに数えられます。日本でも3番目に出荷本数の多い重要な花きです。これまで植物分類学の常識としてカーネーションを含むナデシコの仲間は花でカロテノイドを作らないとされてきたのですが、新たにカロテノイドを作るカーネーションの品種があることを発見しました。この成果を活用することにより、これまでにないバラやキクの黄色、トマトやニンジンの橙色のような新しい花色を持つカーネーションのバラエティーが広がることが期待されます。

現状

カーネーションには淡い黄色の花がありますが、その黄色の色素はカルコンという化合物によるものでした。しかし、バラやキクなどの鮮やかな黄色花である多くの植物はカロテノイドを黄色色素としています。古くからナデシコの仲間は、花においてカロテノイドが合成できないとされてきました。そのため、カーネーションにおける新たな黄色系統のバリエーションを広げていくには、カロテノイドが合成されることが求められていました。

研究体制

これまで国立大学法人東京農工大学においては Barberet & Blanc, S.A. およびジャパンアグリバイオ株式会社が育成したカーネーション品種の花色の研究を行ってきました。その中で、これまでにないカロテノイドを合成している“クラブ”という黄色品種(図 1)を発見し、農研機構とともにカロテノイド色素解析と電子顕微鏡観察、国立大学法千葉大学と公益財団法人岩手生物工学研究センターとともにその合成酵素遺伝子解析、国立医薬品食品衛生研究所とともにその他の色素化合物解析を行いました。

研究成果

ほとんどの植物種の黄色の花はエステル化されたカロテノイドを有色体(葉緑体から変化した、色素を蓄積する細胞小器官)注)で合成していることが明らかにされています。 “クラブ”においてはエステル化されたカロテノイドが合成されていることを確認し、また電子顕微鏡観察によってこれまでカーネーションでは見られなかった有色体を発見しました(図 2)。一方で緑色のカーネーションにおいては葉緑体の形成とともに光合成に関わるエステル化されていないカロテノイドが蓄積され、また、白色のカーネーションにおいては白色体となってカロテノイドそのものがほとんどないことが明らかになりました。

今後の展開

今回、新たな黄色を生み出すカロテノイドの合成の場となる有色体を形成し、エステル化されたカロテノイドが合成されるカーネーション品種を見出すことができました。今後これを育種素材として用い、カロテノイド合成活性の高い品種やトマトやニンジンに含まれる赤橙色のカロテノイドを高蓄積する品種を選抜することによって、これまでにない色合いをもったカーネーション品種を生み出すことが期待できます。

注)葉緑体、有色体、白色体

植物は細胞内に独立して分裂・増殖する色素体と総称される細胞内小器官をもっています。色素体は原色素体から分化して葉や茎などにおいては葉緑体となってクロロフィルと非エステル型カロテノイドが太陽光の光エネルギーから光合成を行い、根においてはアミロプラストに分化してデンプンを貯蔵し、バラやキクの花弁やトマト果実やニンジンの根などにおいては有色体に分化してエステル型カロテノイドを合成する小器官です。また白い花において、色素体はクロロフィルもカロテノイドも作らない白色体になるため白色になります。

図 1. カロテノイドによる黄色品種“クラブ”
図 2. 本研究の成果

本研究は農林水産省委託プロジェクト研究の「国産花きの国際競争力強化のための技術開発」(実需ニーズの高い新系統及び低コスト栽培技術の開発)において行われました。

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