2020-08-25 森林研究・整備機構,九州大学
これまでのスギさし木コンテナ苗生産では、さし穂を土にさしつけて発根させた後にコンテナへ移植して生産するという手法が一般的でしたが(写真 A、B)、さしつけ用の土の準備や発根した穂の掘り取り作業などの重筋作業を伴うことや発根部が地中であるため土から掘りとった後でなければ発根の有無や程度が分からず、移植のタイミングの判断が難しいなどの課題がありました。
国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センター九州育種場と国立大学法人九州大学は、さし穂全体を空気中に露出するように立て、一定の条件で定期的にミスト散水することによって、安定して発根させる手法を開発しました(写真 C、D。以下「本手法」という)。本手法を活用することにより、さしつけ用の土の準備や発根したさし穂の掘り取り作業がなくなるとともに、発根をリアルタイムに目視で確認できるため、さし木コンテナ苗生産の効率化が期待されます。
現在、イノベーション創出強化研究推進事業(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター。以下「推進事業」という)において、推進事業の共同研究機関と共に本手法の実用化研究を進めています。この研究の成果に基づき、「新たなさし木発根技術によるスギさし木コンテナ苗生産マニュアル」を作成し、今年 12 月頃に公開する予定としており、優良種苗の更なる普及に貢献してまいります。