ポリマー光変調器の高効率化に成功し世界最高速の光データ伝送を更新

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データセンターの大規模化に向けた光送信技術の応用に期待

2020-08-24 九州大学,科学技術振興機構

ポイント
  • イーサネットの情報トラフィックの増加が進む一方で、通信技術を支えるハードウェアの低消費電力化が強く望まれている。
  • 光変調器は光データ伝送のキーデバイスであり、高速化と低消費電力化が可能なポリマー変調器の実用化に期待が集まっている。
  • 信頼性の高いポリマー変調器を実現するため材料開発を進め、超高速光データ伝送と安定動作に成功。
  • 省エネルギーや低コスト化が望まれる通信デバイス分野での利用が期待される。

九州大学 先導物質化学研究所の横山 士吉 教授と呂 國偉 博士らの研究グループは、電気光学ポリマーを用いた超高速光変調器を開発し、毎秒200ギガビットの世界最高速の光データ伝送に成功しました。同グループは、これまでにも毎秒100ギガビットの高速光変調の検討を進めてきましたが、今回の研究成果では、さらに2倍の高速性を実現することができました。また、日産化学株式会社と共同で実用化に向けた電気光学ポリマーの開発にも取り組み、100℃以上の高温環境下でも安定に動作するデバイス信頼性を確認することもできました。

近年の情報通信量の急激な増加に対応するため、最先端のデータセンター技術ではハードウェアの高性能・小型化が望まれています。一方、通信に関わる消費電力は大幅に増加する傾向にあり、省エネルギー化も強く求められています。ポリマーを応用した光変調器は、従来の無機・半導体系光変調器に比べて高速性や消費電力などの点で優れており、世界的なデバイス開発競争の中でも期待が集まっています。

本研究グループは、科学技術振興機構(JST) 戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)のもと、国際産学連携による高効率ポリマー光変調器の研究開発を進め、連携先のドイツチーム(カールスルーエ工科大学、ブァンガード オートメーション有限会社)とシリコン光技術を融合したシリコン・ポリマーハイブリッド光変調器の開発を進めています。今回の日本チームによる研究成果では、光信号伝送のデータレートが毎秒200ギガビットの世界最高速に到達し、信頼性試験で100℃以上の高温時にもエラー信号が発生しないことも確認され、ポリマー光変調器の高速化と信頼性を大幅に高めることに成功しました。このような超高速光変調器の応用は、データセンターへの応用など光ネットワークの最先端技術の発展につながることが期待できます。

本成果は、2020年8月24日(日本時間)に「Nature Communications」に掲載されます。

本研究は、科学技術振興機構(JST) 戦略的国際共同研究プログラム(SICORP)「オプティクス・フォトニクス」(PO谷田貝 豊彦)における研究課題「高性能電気光学ポリマーを使った高効率シリコン光デバイス(JPMJSC1807)」の一環として実施されました。

詳しい資料は≫

<お問い合わせ先>
<研究に関すること>

横山 士吉(ヨコヤマ シヨシ)

九州大学 先導物質化学研究所 教授

<JST事業に関すること>

佐藤 正樹(サトウ マサキ)

科学技術振興機構 国際部

<報道担当>

九州大学 広報室

科学技術振興機構 広報課

0404情報通信
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