新たな太陽光発電技術開発で44テーマを採択~再生可能エネルギーの主力電源化に向けた取り組みを推進~

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2020-07-30 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOは、再生可能エネルギーの主力電源化の取り組みを進めるため、太陽光発電に関わる新市場創造や長期安定電源化のための技術開発、先進的な共通基盤技術の開発を目的とした新規事業「太陽光発電主力電源化推進技術開発」で44件の技術開発テーマを採択しました。

本事業では、太陽光発電分野における長期安定電源化や導入量拡大とともに、新たなセル、モジュール、システム技術に関連した産業競争力の強化を目指します。

1.概要

太陽光発電は、重要な低炭素の国産エネルギー源として期待される再生可能エネルギーの中で、最も普及している技術のひとつです。日本では、太陽光発電の主力電源化に向けた取り組みを進めていますが、さまざまな課題が顕在化しています。具体的には、これまで太陽光発電システムは地上設置型や住宅屋根設置などを中心とした、低コスト好条件の適地への設置が進められてきましたが、今後、そうした設置に適した場所が減少していくと考えられます。また、長期安定的に発電するためには、安全性・信頼性の確保や、今後増加するとみられる太陽光発電設備の廃棄物処理のためのリサイクルなどが必要となります。

2018年7月に閣議決定された第5次エネルギー基本計画では、再生可能エネルギーが「日本のエネルギー供給の一翼を担う長期安定的な主力電源として持続可能なものとなるよう、円滑な大量導入に向けた取り組みを引き続き積極的に推進していく」旨が示されました。

このような背景の下、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、再生可能エネルギーの主力電源化の取り組みを進めるため、太陽光発電に関わる新規事業「太陽光発電主力電源化推進技術開発」を開始することとし、そのなかで44件の技術開発テーマを採択しました。同事業では、太陽電池設置環境の可能性を広げるために、新たな素材や製造方法に関した技術開発を行うことで、建物壁面への設置や自動車への搭載など、新市場の創造を目指します。併せて太陽光発電設備の長期安定電源化のための技術や、先進的な共通基盤技術の開発についてもさらなる進展を目指します。

2.事業内容
(1)事業名:太陽光発電主力電源化推進技術開発

研究開発項目(I):「太陽光発電の新市場創造技術開発」

研究開発項目(II):「太陽光発電の長期安定電源化技術開発」

研究開発項目(III):「先進的共通基盤技術開発」

(2)事業期間:2020年度~2024年度
(3)研究開発テーマ名および実施予定先一覧
研究開発項目(I):「太陽光発電の新市場創造技術開発」

これまで、太陽光発電システムは地上設置型や住宅屋根設置などを中心とした、低コスト好条件の適地への設置が進められてきましたが、今後、さらなる導入が進むにつれて、そうした設置に適した場所が減少していくという課題があります。太陽光発電システムの継続した導入の拡大を目指す上では、新たな設置場所・設置環境が必要です。本研究開発では、電力の需要地に近接していながらも、これまで技術的課題が多く設置が難しかった、重量制約のある屋根や建物壁面への導入、さらには自動車などの移動体への導入を可能とするための技術開発を行い、将来に向けた太陽光発電の導入量拡大を目指します。加えて、それらの取り組みを通じて新たなセル、モジュール、システム技術を開発して、新市場を切り開き、関連産業の競争力強化を図ります。

具体的には以下の3領域において開発を進めます。

(1)フィルム型超軽量太陽電池の開発(重量制約のある屋根向け)
重量制約があり、既存の太陽電池モジュールでは設置が難しい屋根などにも設置できるような軽量モジュールを開発する。
(2)壁面設置太陽光発電システム技術開発
建物の壁面に適用することを想定し、その際に求められる経済性・耐久性・意匠性を改善した太陽光発電システムを開発する。
(3)移動体用太陽電池の研究開発
2050年に広く一般の電動自動車などへ搭載するため、自動車形状に追従可能で、高効率、低コストの実現を目指した技術開発を行う。

「太陽光発電の新市場創造技術開発」のイメージ

図1 「太陽光発電の新市場創造技術開発」のイメージ

研究開発項目(II):太陽光発電の長期安定電源化技術開発

太陽光発電設備の長期安定電源化には発電設備の安全の確保が必須であり、そのためにはさまざまな設置環境に適用できるガイドラインの策定が必要です。加えて規模の小さい事業用太陽光発電設備への適用も視野に入れた、発電設備の構造・電気に関する信頼性の評価や、信頼性を回復する技術の開発も必要とされています。それらの安全性、信頼性に関する技術開発を行うとともに、将来急増が懸念されている、太陽光発電設備の廃棄物を回避するためのリサイクル技術や、太陽光発電の導入拡大とともに課題となっている、電源系統への影響緩和技術の開発を行います。

具体的には以下の3領域において開発を進めます。

(1)安全性・信頼性確保技術開発
事故防止に向けた傾斜地設置型、営農型、水上設置型太陽光発電設備のガイドラインを策定する。また、件数として約9割を占める小規模発電設備(50kW以下)にも適用可能な信頼性評価・回復技術の開発を行う。
(2)太陽電池モジュールの分離・マテリアルリサイクル技術開発
2030年代に急増が予測される太陽光モジュールの大量廃棄に向けて、低コスト分解処理技術、有価物回収率向上技術の確立。特に廃棄物の中で約6割の重量を占めるガラスのリサイクルの低コスト分離技術の実証を行う。
(3)系統影響緩和に資する技術課題の検討
太陽光発電の出力制御や発電量・需要予測の高度化、需給バランスの実現につながる需給一体型システムの構築や需給変動に対する調整力を創出する技術開発を行う。

「太陽光発電の長期安定電源化技術開発」のイメージ

図2 「太陽光発電の長期安定電源化技術開発」のイメージ

研究開発項目(III):先進的共通基盤技術開発

上記「新市場創出」や「長期安定電源化」技術を支える測定評価技術や日射量予測技術など、先進的共通基盤技術の開発を実施します。

具体的には以下の2領域において開発を進めます。

(1)新型太陽電池の高精度性能評価技術の開発
標準化や規格化が進んでいない新型太陽電池など(ペロブスカイト、タンデムなど)の出力などの性能を正しく評価するための測定技術を開発するとともに、開発につながる基準太陽電池および校正技術を開発し、性能・信頼性・安定性を評価する。
(2)発電量の短期予測に向けた日射量予測技術の開発
発電量の短期的な予測に向け、現在を起点に数時間先の1km四方程度のエリアの日射量を予測する技術を開発し、その評価を行う。加えて、現在から翌日および翌々日程度先の日射量を予測する技術開発への可能性についても検討する。

「先進的共通基盤技術開発」のイメージ

図3 「先進的共通基盤技術開発」のイメージ

3.問い合わせ先

(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)

NEDO 新エネルギー部 担当:山崎、今井、福嶋、山川 

(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)

NEDO 広報部 担当:坂本、佐藤、鈴木(美)

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