「ひので」衛星のX線望遠鏡が見た水星の太陽面通過

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2019-11-15   宇宙科学研究所,国立天文台,アメリカ航空宇宙局

日本時間の2019年11月11日夜から12日未明にかけて、水星の太陽面通過が起きました。これは、地球から見て水星が太陽の前を通り過ぎる現象です。残念ながら、日本の夜中の時間帯でしたので、日本からは見られませんでした。「ひので」衛星は地球上空の軌道上からこの現象を観測しました。「ひので」衛星に搭載したX線望遠鏡が観測した画像と動画を公開します。

X線望遠鏡で見た水星の太陽面通過

「ひので」X線望遠鏡で太陽面を通過中の水星をとらえた画像を下に示します。水星の直径は太陽の285分の1しかなく、この画像では水星は、X線を放射する太陽コロナ(図では黄色で着色)の前を横切る、とても小さな黒い点として見えています。

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© JAXA/国立天文台/モンタナ州立大学/SAO [文字なし PNG(16MB)]

下は、太陽面を通過する水星の周囲を切り出して作成した画像と動画です。X線の明るいところを黒、暗いところを白、のネガ表示としています。画面中央にある白い丸が水星で、動画では太陽コロナを背景に移動していく様子が見えます。

20191115_2.png

© JAXA/国立天文台/モンタナ州立大学/SAO

© JAXA/国立天文台/モンタナ州立大学/SAO [ GIFアニメーション(33.5MB) ]

解説:「ひので」から見る水星の太陽面通過

地球上空を周回する「ひので」衛星から見ると、太陽に対する水星の移動の様子は地上で見るのとは異なります。「ひので」の軌道は高度約680 kmの太陽同期極軌道で、常に昼夜の境目を、1周回約98分で飛行しています。「ひので」はこの軌道上を移動しながら観測しているため、より近い水星とより遠い太陽との視差の違いが影響して、太陽面を通過していく水星の軌跡は右図のように波打って見えるのです。波打つ周期は「ひので」の1周回の時間約98分ですので、波打つ回数は、水星が太陽面を通過するのにかかる時間約5時間30分をこの周期で割って、およそ3.4回と算出できます。下図を見ると、水星は太陽面を通過する間に約3回半、波打っている様子がわかります。

20191115_4.jpg

予報計算:相馬充(国立天文台)

なお、次の水星の太陽面通過は2032年11月で、日本からも観測可能です。

過去の観測
0300航空・宇宙一般0303宇宙環境利用1702地球物理及び地球化学
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