2018/12/20(更新)2022-01-02(再更新) 林野庁
林野庁は、「木質バイオマスエネルギー利用動向調査」の調査結果を取りまとめました。平成29年にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、木材チップが873万絶乾トン(前年比12.8%増)、木質ペレットが38万トン(前年比75.2%増)、薪が6万トン(前年比27.5%増)、木粉(おが粉)が41万トン(前年比25.8%増)で、木材チップのうち、間伐材・林地残材等に由来するものは263万絶乾トン(前年比37.4%増)でした。また、木質バイオマスを利用する発電機の数は264基(前年から24基増)、ボイラーの数は2,058基(前年から86基増)でした。
1.当調査の概要について
林野庁は、木質バイオマス(注1)のエネルギー利用動向を把握するため、木質バイオマスをエネルギー利用している発電機及びボイラーを有する事業所を対象として、事業所の概要、利用した設備の動向、公的補助の活用状況、利用した木質バイオマス量について調査を行い、その動向等について公表しております。
平成29年の調査では、調査対象として全国1,447事業所のうち、1,398事業所から回答がありました(回答率97%)。
既に、平成30年9月7日に、本調査の速報として、エネルギーとして利用された木材チップの量を公表しましたが、今般、それ以外の調査結果の取りまとめを行いましたので、確報として公表いたします。
(注1)木質バイオマスについて
木質バイオマスとは、バイオマス(動植物に由来する有機物)のうち木質であるものを言い、具体的には、木材チップ、木質ペレット、薪、木粉(おが粉)等を指します。
2.当調査結果の概要について
(1)結果の概要
平成29年にエネルギーとして利用された木質バイオマスは、前年に比べ、木材チップ、木質ペレット、薪、木粉の全てで増加(それぞれ、12.8%増、75.2%増、27.5%増、25.8%増)しました(別添1)。
特に、木材チップのうち間伐材・林地残材等に由来するものの利用量(263万絶乾トン(注2))は、前年に比べて37.4%増加しました。特に発電を行う事業所における利用が大きく増加(発電機のみを所有している事業所について前年比41.5%増)しました(別添2)。
また、発電機数は、前年に比べ24基増加しており、用途別に見ると、売電を目的としたものが19基増加しました(別添5)。
これらのことは、再生可能エネルギー固定価格買取制度の認定を受けた複数の木質バイオマス発電施設等が稼働を開始したことにより、間伐材・林地残材等に由来する木材チップが多量に使われ始めたことを示しています。
ボイラー数は、前年に比べ86基増加しました。種類別に見ると、おが粉を燃料とするものが若干減少(5基減)する一方で、木くず焚き、ペレット、薪を燃料とするものが増加(それぞれ、18基増、30基増、5基増)しました。用途別に見ると、暖房や給湯に利用するボイラー基数が増加(それぞれ、43基増、40基増)しました(別添6)。
(2)木質バイオマスの利用量
平成29年にエネルギーとして利用された木質バイオマスの量は、「木材チップ」で873万絶乾トン(前年比12.8%増)、「木質ペレット」で38万トン(同75.2%増)、「薪」で6万トン(同27.5%増)、「木粉(おが粉)」で41万トン(同25.8%増)などでした(全国集計表2-(1))。
このうち、木材チップに着目して、利用量を由来別にみると、「間伐材・林地残材等」が263万絶乾トン(前年比37.4%増、構成比30.2%)、「製材等残材」が150万絶乾トン(同9.0%減、同17.2%)、「建設資材廃棄物(解体材、廃材)」が413万絶乾トン(同3.7%増、同47.3%)などでした(全国集計表2-(3))。
また、木材チップの利用量を利用機器の所有形態別に見ると、「発電機のみ所有」が449万絶乾トン(前年比13.2%増)、「ボイラーのみ所有」が115万絶乾トン(同7.4%減)、「発電機及びボイラーの両方を所有」が309万絶乾トン(同22.2%増)でした。特に、間伐材・林地残材等に由来する木材チップについては、「発電機のみ所有」が212万絶乾トン(前年比41.5%増)、「ボイラーのみ所有」が11万絶乾トン(同9.5%増)、「発電機及びボイラーの両方を所有」が41万絶乾トン(同26.6%増)でした(全国集計表2-(3))。
(3)事業所
事業所の数は、合計1,398事業所(前年比55事業所増)で、業種別に見ると、「製材業、木製品製造業」が251事業所(構成比18.0%)で最も多く、次いで、「一般公衆浴場業、その他の公衆浴場業(温泉)」が139事業所(同9.9%)、「農業」が93事業所(同6.7%)、「宿泊業」が90事業所(同6.4%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」が86事業所(同6.2%)、「老人福祉、介護事業、障害者福祉事業」が73事業所(同5.2%)などでした(全国集計表1-(1))。
(4)発電機
発電機の数は、合計264基(前年比24基増)で、業種別に見ると、「電気・ガス・熱供給・水道業」が96基(構成比36.4%)、「パルプ・紙・紙加工品製造業」が69基(同26.1%)などでした。種類別では、「蒸気タービン」が223基(同84.5%)、「オーガニック・ランキン・サイクル(ORC)」が10基(同3.8%)、「ガス化」が26基(同9.8%)などでした。また、総数のうち、熱電併給を行う発電機は、118基(構成比44.7%)、同じく総数のうちFIT制度により売電している発電機は108基(構成比40.9%)でした(全国集計表3-(1))。
電気の用途別では、「自社又は自社関連施設等で利用」が146基(構成比55.3%)、「売電」が117基(同44.3%)などでした(全国集計表3-(2))。
(5)ボイラー(熱利用の場合)
ボイラーの数は、合計2,058基(前年比86基増)で、業種別に見ると、「農業」が404基(構成比19.6%)、「製材業、木製品製造業」が292基(同14.2%)などでした。
種類別では、「ペレットボイラー」が945基(構成比45.9%)、「木くず焚きボイラー」が798基(同38.8%)、「薪ボイラー」が161基(同7.8%)などでした(全国集計表4-(1))。
用途別では、「暖房のみ」が732基(構成比35.6%)、「給湯」が409基(同19.9%)、「木材の乾燥」が361基(同17.5%)などでした(全国集計表4-(2))。
(6)公的補助の活用状況
平成29年に補助金等を活用して取得された設備は、発電機で12基、ボイラーで42基、附帯設備等で16基でした。このうち、ボイラーについて、業種別に見ると、「宿泊業」が6基、「その他木材産業」が5基、「スポーツ施設提供業」が5基などでした(全国集計表3-(8)、4-(8)、5)。
(7)その他
灰の処理方法については、「産業廃棄物として処理」が685事業所(構成比49.0%)、「農業用に使用」が377事業所(同27.0%)などでした(全国集計表1-(3))。
(8)都道府県別の結果
上記の結果のうち、木質バイオマスの利用量、木材チップの由来別利用量、木質ペレットの由来別利用量、木質バイオマスエネルギー利用事業所数、発電機数(種類別、電気の用途別)、ボイラー数(種類別、熱の用途別)、補助金等活用数(発電機、ボイラー、附帯設備等)については、都道府県別のデータも公表しました。
なお、平成29年木質バイオマスエネルギー利用動向調査の調査結果(全体集計表、都道府県集計表)については、以下に掲載しています。
https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/mokusitu_biomass/index.html
(注2)絶乾トンについて
絶乾トンとは絶乾比重(含水率0%)に基づき算出された実重量を指します。
〈添付資料〉
「平成29年木質バイオマスエネルギー利用動向調査全国集計表」(PDF : 132KB)
別添1「エネルギーとして利用された利用機器の所有形態別木質バイオマスの種類別利用量(前年比較)」(PDF : 48KB)
別添2「エネルギーとして利用された利用機器の所有形態別木材チップの由来別利用量(前年比較)」(PDF : 52KB)
別添3「エネルギーとして利用された木材チップのうち間伐材・林地残材等に由来するものの量(都道府県別・前年比較)」(PDF : 59KB)
別添4「発電機数及びボイラー数(都道府県別・前年比較)」(PDF : 55KB)
別添5「種類別発電機数及び用途別発電機数(前年比較)」(PDF : 47KB)
別添6「種類別ボイラー数及び用途別ボイラー数(前年比較)」(PDF : 46KB)
お問合せ先
林野庁林政部木材利用課