酸化物界面におけるスキルミオンの電界制御

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界面設計による高密度スピントロニクスに向けて

2018年1月15日 理化学研究所 東京大学

要旨

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター強相関界面研究グループの大内祐貴研修生(東京大学大学院工学系研究科博士課程3年)、松野丈夫専任研究員、川﨑雅司グループディレクター(東京大学大学院工学系研究科教授)らの共同研究グループ※は、原子レベルで制御可能な酸化物界面において、磁化とスキルミオン[1]に由来する輸送特性を電界で大きく制御することに成功し、スピントロニクス[2]デバイス設計の新たな指針を見いだしました。

電子の持つスピン[3]をエレクトロニクスに役立てるスピントロニクスが注目を集めています。そのためにスピンと電子の運動を結びつけるスピン-軌道相互作用[4]が重要な因子となっており、なかでも異常ホール効果[5]とトポロジカルホール効果[6]という2種類のホール効果[5]がスピン-軌道相互作用に由来する興味深い磁気輸送現象として盛んに研究されています。この二つの効果を高密度スピントロニクスデバイスに展開するには、磁界や電流注入ではなく電界で制御することが必要になります。しかし、電界が遮蔽される金属強磁性体(磁石)においてはそれが困難であるという問題がありました。

今回、共同研究グループは、強磁性体SrRuO3による異常ホール効果に加えて、非磁性体SrIrO3の強いスピン-軌道相互作用から生成されるスキルミオンに由来するトポロジカルホール効果も示す界面構造を、SrTiO3基板上に作製しました。原子レベルで薄膜の積層を制御し、SrRuO3とSrIrO3の積層の順序を入れ替えたところ、SrRuO3/SrIrO3/SrTiO3の順で積層したときのみ、異常ホール効果とトポロジカルホール効果の両方で電界効果[7]が観測されました。SrTiO3基板はゲート絶縁体[7]を兼ねるため、今回の観測は強磁性体とゲート絶縁体との間に強いスピン-軌道相互作用を持つ物質を挿入することで、強い電界効果を実現できることを意味しています。

本成果は今後、磁化やスキルミオンを磁気メモリ[8]として使う際の設計指針となることが期待できます。また、スピン-軌道相互作用に由来する現象はホール効果以外にも数多く存在するため、それらを電界で制御しデバイスへ応用する際にも有用な成果といえます。

本研究は、英国のオンライン科学雑誌『Nature Communications』(1月15日付け)に掲載されます。

※研究チーム

理化学研究所 創発物性科学研究センター
強相関物理部門 強相関界面研究グループ
研修生 大内 祐貴 (おおうち ゆうき)(東京大学大学院工学系研究科 博士課程3年)
専任研究員 松野 丈夫 (まつの じょうぶ)
客員研究員 小塚 裕介 (こづか ゆうすけ)(東京大学大学院工学系研究科 講師)
客員研究員 打田 正輝 (うちだ まさき)(東京大学大学院工学系研究科 助教)
グループディレクター 川﨑 雅司 (かわさき まさし)(東京大学大学院工学系研究科 教授)

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