テラヘルツ周波数帯の真空量子揺らぎと格子振動の超強結合状態の実現

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量子光を駆動力とする新規物性制御への挑戦

2021-07-30 京都大学

廣理英基 化学研究所准教授、金光義彦 同教授、章振亜 同修士課程学生(理学研究科)、関口文哉 同特定助教らの研究グループは、スプリットリング型共振器によってテラヘルツ周波数帯の電磁波(電磁場)の真空量子揺らぎとハライドペロブスカイト半導体CH3NH3PbI3中のフォノン(格子振動)を強く結合させることにより、フォノンの周波数を大きく変調できることを発見しました。

これまで、光共振器を用いると原子ガスや半導体中の電子準位と電磁波の量子揺らぎが強く結合することは知られていましたが、テラヘルツ周波数帯に位置する固体中のフォノンは電磁波との相互作用が弱く、強い結合状態の実現が難しいことが知られていました。本研究では、金で作製したスプリットリング型共振器の一部をナノサイズ化することにより、真空中の量子揺らぎがもたらす電磁波の電場成分が600倍に増強され、これによってフォノンの共鳴周波数が分裂する真空ラビ分裂を観測することに成功しました。この真空ラビ分裂の周波数幅に比例する結合定数ηは0.24に達し、超強結合状態を示すことを世界で初めて明らかにしました。

今回の光の量子揺らぎにより物質中のフォノンを操作する技術は、固体物性の新たな制御法を提示し、全く新しい光電子デバイス開発につながることが期待されます。

本研究成果は、2021年7月27日に、国際学術誌「Physical Review Research」に掲載されました。

テラヘルツ周波数帯の真空量子揺らぎと格子振動の超強結合状態の実現
図:(a)スプリットリング共振器にある電磁波の真空量子揺らぎの模式図と
(b)共振器のギャップ長Gを小さくしたときにフォノンの真空ラビ分裂ΩRの増大を示す実験結果。

詳しい研究内容≫

研究者情報
研究者名:廣理英基
研究者名:金光義彦
研究者名:関口文哉

1700応用理学一般
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