脱炭素化に向け、サーバーを冷却するための消費電力を削減
2021-06-21 KDDI株式会社,三菱重工業株式会社,NECネッツエスアイ株式会社
KDDI株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:髙橋 誠、以下 KDDI)、三菱重工業株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:泉澤 清次、以下 三菱重工)、NECネッツエスアイ株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役執行役員社長:牛島 祐之、以下 NECネッツエスアイ)は、 2021年6月21日から、地球環境保全を目的とした消費電力削減および脱炭素化の取り組みとして、液体でサーバーを冷却する液浸冷却装置を活用し、それらをコンテナに収容した小型データセンターの実現および、国内における2022年度の社会実装を目指し、実証実験(以下 本実証)を開始します。
<サーバー冷却装置と小型データセンター>
データセンターは、現代の生活や文化を支える社会インフラの一つであり、その重要性は今後さらに増大することが予想されます。昨今、企業のクラウド化が進むことでサーバーの追加およびデータセンターの増設に対する需要が高まっていることから、サーバーが発する熱を冷却するための消費電力量を抑制し、環境に与える影響を最小限に留めることが重要な課題となっています。
KDDIはこれまで、地球環境保全に向けた取り組みとして、2020年7月から台湾にて、冷却媒体に液体を利用した液浸冷却技術でIT機器を高効率に冷却をする検証に加え、その冷却技術を活用し20ftのコンテナにデータセンターを収容する検証を行いました。
本実証では、KDDI、三菱重工、NECネッツエスアイが、業界の枠を超えてそれぞれの強みを持ち寄り、50kVa相当のサーバーと液浸冷却装置を12ftのコンテナに収容し、十分な冷却性能を発揮しながらも、業界最小水準であるPUE1.1(注1)以下のエネルギー効率を目指します。
これにより、データセンターとしての消費電力は約35%の削減(注2)が見込まれ、電力を大量に消費するというデータセンターの課題に応えると同時に、二酸化炭素の排出抑制が期待できます。
また、データセンターの置き場所の選択肢が増え、設置環境や条件を大きく緩和し、設置が容易なデータセンターを実現することで、既存のデータセンターの処理を補完し、高速かつ遅延の少ないデータ処理を可能にします。さらに、高性能で高密度に実装された冷却機構は、より大型のデータセンターにもサーバー実装数の増加やエネルギー消費量の低減と言ったソリューションを提供できると考えています。
3社は今後も、本実証を通じて、国内のデジタルトランスフォーメンション(DX)の発展とともに、脱炭素化および地球環境保全に貢献していきます。
- 1PUEは、以下の式で算出されるデータセンターのエネルギー効率を測る一般的な指標で、値が小さいほど、 データセンターのエネルギー効率が良いとされています。
PUE = データセンター全体の消費電力量(kWh) / IT機器の消費電力量(kWh) - 2PUE1.7のデータセンターと比較した場合。
本実証の詳細は別紙をご参照ください。
<別紙>
■本実証について
1.実証期間
2021 年 6 月 21 日から 2021 年 12 月末を予定
2.実証内容
(1)冷却効率の向上
・冷媒冷却用ラジエーター、外気冷却機構を国内メーカーと開発し、さらなる排熱処理能力の向上と省電力化を実現します。
・日本の厳気象などを想定して、冷却能力が十分に機能することを確認します。
(2)小型データセンターの実現
・液浸冷却装置(液浸装置+ラジエーター)、外気冷却機構一式を小型コンテナに実装します。
・実装設計や小型装置の開発など、さらに小型なデータセンターの成立性を検討します。
(3)社会実装に向けた課題の洗い出しと解決策の検討
・設置環境での外部影響を評価します。
・製品化時のコスト見積および商品性を検討します。
・準拠すべき法令・規制の洗い出しと適用に向けた課題解決を施し、国内認可をゴールとします。
3.各社の役割
・KDDI :本実証試験の円滑な管理推進。
IT 機器の高負荷、高温時における各種試験及び課題解決の実施。
IT 機器メーカとともに、液浸冷却技術導入時の課題解決・改善。
・三菱重工 :データセンター冷却機構(チューブ&フィン)を設計し、12ft コンテナに高密度で実装。
IT 機器(KDDI 持込)、液浸冷却装置(NEC ネッツエスアイ持込)を 12ft コンテナに最適に配置し、組み立て。
自社工場内の共創空間「YOKOHAMA HARDTECH HUB」を実証場所として提供。
・NEC ネッツエスアイ :高廃熱処理に適応する液浸冷却装置を提供。
ファシリティ×IT/NW 領域両面をカバーする DCIM(Data Center
Infrastructure Management)の SI 設計と構築を実施。
実運用を考慮した生体認証技術によるフィジカルセキュリティシステムを
提供。
将来を見据えたグリーンエネルギー活用を検討。
4.本実証への協力企業(ABC 順)
・AMD, Inc.
・GIGABYTE Technology
・MITAC COMPUTING TECHNOLOGY CORP.
・myProduct 株式会社
・Super Micro Computer, Inc.
・Western Digital Corporation
・Wiwynn Corporation
・アリスタネットワークスジャパン合同会社
・エヌビディア合同会社
・株式会社 DC ASIA
・工業技術研究院(ITRI)
・シスコシステムズ合同会社
・デル・テクノロジーズ株式会社
・日本フォームサービス株式会社
・日本ヒューレット・パッカード合同会社
・パンドウイットコーポレーション日本支社
以 上