2021-02-19 日本医療研究開発機構
発表のポイント
- これまで創薬総合支援事業(創薬ブースター)での支援が決定したテーマに限定されていた、DISCライブラリーのうち、中分子ライブラリーについてアカデミアでの利用が可能になります。
- 中分子ライブラリーの一部を東京大学創薬機構に移管し、創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業BINDSの支援の仕組、ワンストップ窓口を通じて提供申請を受付します。
- 次世代創薬シーズライブラリー1万5千化合物の移管から始め、令和5年度までに10万化合物程度の中分子ライブラリーがアカデミアでも利用可能になる予定です。
- DISC中分子ライブラリーの活用拡大とBINDS創薬支援機能の拡充により、アカデミアへの創薬支援の強化を図ります。
詳細
DISC中分子ライブラリーのアカデミアにおける利用を促進
創薬総合支援事業では、「産学協働スクリーニングコンソーシアム(DISC)」の低分子ライブラリーとして約30万の低分子化合物を、次世代創薬シーズライブラリーとして約1.5万の中分子を保有しています。創薬分野では、新たな創薬ターゲットとしてタンパク質-タンパク質相互作用(protein-protein interaction;PPI)が注目されており、中分子をモダリティとした創薬が望まれていることから、創薬総合支援事業の取り組みとして新たにDISCに合成展開可能な中分子ライブラリーを構築しているところです。
従来のDISCでは、創薬ブースターで選定された創薬シーズに対しHigh-throughput Screening(HTS)を支援し、その結果はコンソーシアム会員企業における導入判断に用いるためにフィードバックされる仕組みとなっており、利用対象が限定されていました。今回、新たにAMEDが購入する中分子ライブラリーと既に保有している次世代創薬シーズライブラリーを、アカデミア創薬に取り組む創薬支援推進事業以外の研究者も、広く利用できる仕組みを設けることとしました。
BINDS・東京大学創薬機構との連携
創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業「創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)」では、日本の優れたライフサイエンス研究の成果を医薬品等の実用化に繋げることを目的として、大型施設・装置を整備・維持し、積極的な共用を行うこと、研究者が他者の研究を「支援」(技術支援)すること等により、相乗的な成果の創出を目指しています。この「他の研究者への技術支援を依頼」の促進のため、専用のウェブサイトを開設し、入力フォームによるオンライン申請(ワンストップ窓口)により、面識のない研究者への支援依頼を可能としたことで、支援数は順調に増加しています。
BINDSでも、低分子や天然物ライブラリーの提供が支援メニューとして利用可能ですが、中分子ライブラリーについて、BINDSケミカルシーズ・リード探索ユニットの東京大学創薬機構に、DISC事業で保管している次世代創薬シーズライブラリーの一部と令和2年度から新たに購入する中分子化合物の一部を移管し、BINDSの支援の仕組を利用してアカデミアへの提供を開始します。
支援を希望する研究者は、下記のURLから所定のフォームにて申請をお願いいたします。
ワンストップ窓口 URL:https://www.supportbinds.jp/
コンサルティング申請書の書き方例 URL:https://www.binds.jp/application_manual/
アカデミアで利用可能なDISC中分子ライブラリーの規模―東大創薬機構ライブラリーの拡充
DISCで保管中の中分子化合物のうち、次世代創薬シーズライブラリー(AMED創薬基盤推進研究事業で構築した約1万5千万の中分子化合物)を先行してBINDSケミカルシーズ・リード探索ユニットの東京大学創薬機構に移管します。さらに、令和2~4年度にDISCが中分子ライブラリーとして保管される化合物を、翌年度にBINDSケミカルシーズ・リード探索ユニットの東京大学創薬機構に移管します。
これらにより、令和5年度までに、合計で10万化合物程度の中分子ライブラリーがアカデミアに提供可能となる予定です。
今後の期待・効果
創薬総合支援事業とBINDSとの事業の枠を超えた連携により、早期にアカデミアへの中分子をモダリティとした創薬支援を強化し、中分子医薬品の研究開発の加速化を図ります。
お問い合わせ先
事業に関する連絡先
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
創薬事業部 医薬品研究開発課 創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業(BINDS)
広報に関すること
国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)
経営企画部 評価・広報課