2020-09-08 国立天文台
国立天文台三鷹キャンパスで保存・公開されている6mミリ波電波望遠鏡(クレジット:国立天文台) オリジナルサイズ
日本の宇宙電波天文学の礎となった「6mミリ波電波望遠鏡」が、第2回(2019年度)日本天文遺産に認定されました。
6mミリ波電波望遠鏡は、東京大学東京天文台(現在の国立天文台)の三鷹キャンパス内に1970年に完成した、世界で3番目、国内では初めてのミリ波電波望遠鏡です。当時、研究者と技術者が試行錯誤を重ねて完成させたこの電波望遠鏡は、直径6メートルと小型でありながらも、新たな星間分子の検出、オリオン星雲や天の川銀河の中心領域での星間分子の分布観測など、画期的な成果を挙げ、日本の宇宙電波天文学の黎明(れいめい)期を支えました。
6mミリ波電波望遠鏡で培った技術は、当時世界最大・最高性能のミリ波望遠鏡として1982年に完成した野辺山宇宙電波観測所45メートル電波望遠鏡に結実しました。また、45メートル電波望遠鏡による数々の研究成果は、南米チリのアルマ望遠鏡での観測研究にも引き継がれ、現在の宇宙電波天文学の飛躍的な発展につながっています。
日本の宇宙電波観測の中心が野辺山に移った後、6mミリ波電波望遠鏡は三鷹での運用を終え、水沢キャンパス、野辺山キャンパスとその活躍の場を移しVLBI観測に貢献しました。その後はさらに鹿児島県の錦江湾公園に移設され、鹿児島大学を中心とした観測研究活動でVLBI観測網の一翼を担いました。鹿児島での運用終了後は再び三鷹の地に戻り、2018年10月からは日本の宇宙電波天文学の歩みを伝える重要な歴史的資産として、三鷹キャンパスの一般見学エリアで保存・公開されています。
日本天文遺産は、歴史的に貴重な天文学・暦学関連の遺産を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えその普及と活用を図るために、公益社団法人日本天文学会が認定するものです。この6mミリ波電波望遠鏡は、天文学上重要な史跡・建造物として認定されました。
なお、日本天文学会による日本天文遺産の認定証の贈呈式が、来る9月14日に三鷹キャンパスにて執り行われる予定です。