機械学習による世界の気候パターンの分類に成功~30年間の気候データを画像化して深層学習で識別~

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2020-07-28 京都大学

 伊勢武史 フィールド科学教育研究センター准教授、大庭ゆりか 学際融合教育研究推進センター特定助教の研究グループは、ブラックボックスであるディープラーニングの特徴を逆手に取り、トップダウン型の研究を行うことで、気候をつかさどる物理現象の数式を用いずに、気候パターンの分類に成功しました。

 世界の気候を理解しパターン化することは、気候変動の影響が懸念される現代において特に重要なことですが、物理学の法則にのっとって現象を理解しようとするボトムアップ型の研究では限界がありました。気候という現象に影響を与える要素は無数にあり、またカオス的な挙動を引き起こすあまたのフィードバックが存在するからです。これらの要素のすべてを明示的な数式で表現することは困難です。

 本研究では、ある30年間の気候に関する8つの変数(月別の気温・降水量・湿度など)から選んだ最大3つの変数について、デジタルカラー画像を構成する赤・緑・青の3つのチャンネルの値に変換し、さらにその値から2次元画像を合成しました(図)。この画像は、季節ごと・年ごとの気候のトレンドを視覚的に表現しています。この画像によって人工知能は気候の特徴を学習することが容易になり、ディープラーニングで気候パターンを分類することが可能になりました。

 このような本研究のトップダウン型アプローチを、従来のボトムアップ型の研究と比較・統合することで、より高精度かつ堅固な気候研究が達成されると期待されます。

 本研究成果は、2020年7月6日に、国際学術誌「npj Climate and Atmospheric Science」に掲載されました。

図:世界各地において、気温・潜在蒸発散量・水蒸気圧という3つの変数(月ごと・30年間)をデジタルカラー画像の赤・緑・青の3つのチャンネルの値に変換して合成した画像

詳しい研究内容≫

1600情報工学一般1702地球物理及び地球化学
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