140万年前のホモ属の卓越した技術を解明

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エチオピア、コンソで出土した140万年前の骨製ハンドアックス

2020-07-14 東京大学

諏訪 元 (東京大学総合研究博物館 特招研究員/東京大学 名誉教授)

佐野勝宏 (東北大学東北アジア研究センター 教授)

Yonas Beyene (仏エチオピア研究センター)

Berhane Asfaw (地溝帯研究センター)

加藤茂弘 (兵庫県立人と自然の博物館 主任研究員)

遠藤秀紀 (東京大学総合研究博物館 教授)

小藪大輔 (香港市大学 准教授)

佐々木智彦 (京都大学 准教授)

 エチオピアと日本の共同研究チームは、エチオピアのコンソ遺跡から140万年前に遡る骨製のハンドアックスを発見しました。

 100万年前を遡る骨製ハンドアックスは、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で発見された一例のみで、しかも簡単な作りのため、該期のホモ属が石以外の素材を用いて意図的にハンドアックスを製作していたとは言い切れませんでした。今回のコンソの骨製ハンドアックスは、カバの大腿骨の破片の両面に数多くの剥離が施されており、ヒトの手によって入念に製作されたことが示唆されます。更に、体系的な使用痕分析を行ったところ、刃部には微小剥離、摩滅、磨耗光沢、線状痕が認められ、その分布パターンは切断や鋸引き時に発生するものと類似しています。これらのことから、コンソの骨製ハンドアックスは、石製ハンドアックスと同様に、動物解体等の作業に使われていたと考えられます。今回の発見は、精巧な作りをした骨製ハンドアックスが前期更新世にも作られていた事を示し、アフリカの該期のホモ属が、石だけでなく、骨でも精巧な作りの道具を製作する卓越した技術を獲得していたことを示す、貴重な証拠となっています。

 本研究成果は、「Proceedings of the National Academy of Science of the USA (米国科学アカデミー紀要)」のオンライン版に掲載されました。

140万年前のホモ属の卓越した技術を解明

エチオピア、コンソ遺跡から出土した140万年前の骨製ハンドアックス

(撮影/提供:Berhane Asfaw)

詳しい資料は≫

論文情報

Katsuhiro Sano, Yonas Beyene, Shigehiro Katoh, Daisuke Koyabu, Hideki Endo, Tomohiko Sasaki, Berhane Asfaw, and Gen Suwa, “A 1.4-million-year-old bone handaxe from Konso, Ethiopia, shows advanced tool technology in the early Acheulean,” Proceedings of the National Academy of Science of the USA, doi:10.1073/pnas.2006370117.

論文へのリンク (掲載誌)

お問い合わせ先

佐野勝宏

東北大学東北アジア研究センター 教授 

諏訪 元

東京大学総合研究博物館 特招研究員

東京大学名誉教授

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