2019-11-07 総務省 国立研究開発法人情報通信研究機構
国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、理事長: 徳田 英幸)は、令和元年11月7日から、国際民間航空機関(ICAO)のグローバル宇宙天気センターの一員として、太陽活動に伴う通信や衛星測位への影響、放射線被ばく量等に関する情報(宇宙天気情報)の提供を開始いたします。
太陽活動が活発になると、特に高緯度地域で通信や衛星測位等の電波利用に影響が生じるほか、人体への被ばくのリスクが高まる可能性があることから、今般ICAOでは、民間航空会社に対する宇宙天気情報の提供を開始することとしていますが、NICTは、連携する海外の関係機関と共にこのICAOの取組に参画し、日本上空やその周辺の宇宙天気の現況及び最大24時間後までの予測情報を提供していく予定です。
1 経緯等
近年、東アジアの経済的な成長などに伴い、北極上空を飛行する極航路の利用が増加しています。その一方で、極航路においては、太陽活動が活発になった際に、短波及び衛星通信、衛星測位などの電波利用に支障を生じることが知られています。また、乗務員等の人体被ばくのリスクも高まる可能性があると考えられます。これらのリスクを避けることを目的に、平成23年から、民間航空機の運航における宇宙天気情報の利用について、国際民間航空機関(ICAO)を中心にその検討が進められてきました。
NICTは日本の宇宙天気予報機関として、オーストラリア、カナダ、フランスの関係機関と共に「ACFJコンソーシアム」を構成し、ICAOにおいて、アジアで唯一、グローバル宇宙天気センターの取組に参画することが認められています。
宇宙天気センターには24時間365日の運用、高い信頼性・可用性など厳しい要件が求められていますが、ICAOは一昨年6月に宇宙天気センターの公募を開始し、所定の審査を経て、現在、以下の3つのグローバル宇宙天気センターが認定されており、本年11月7日から情報提供サービスを開始します。
●ACFJコンソーシアム(オーストラリア(気象局)、カナダ(天然資源省災害適用運用局)、フランス(環境連帯移行省)、
日本(NICT))
●米国
●PECASUSコンソーシアム(欧州連合:フィンランド、オーストリア、ベルギー、キプロス、ドイツ、イタリア、オランダ、
ポーランド、英国)
2 業務の概要
ICAOグローバル宇宙天気センターは、航空運用に支障を来すおそれのある宇宙天気現象が発生している、あるいは24時間以内に発生すると予報された場合に“アドバイザリ”と呼ばれる情報を送信します。(3つのグローバル宇宙天気センターは持ち回りで「主幹センター」、「第1バックアップセンター」、「第2バックアップセンター」の業務を2週間周期で交代します。)
日本は、オーストラリア・カナダ・フランスの各機関と共に予報に必要なデータを提供・共有し、アドバイザリを共同で作成します。作成されたアドバイザリはICAOグローバルネットワークを通じて各国に送信され航空運用に利用されます。
参考情報
宇宙天気とは
宇宙天気とは、主に太陽活動によって発生する自然現象であり、短波や衛星を用いた通信・放送、衛星測位、人工衛星や宇宙ステーションなどの運用等に影響を与える。また高高度の航空機や宇宙空間の宇宙飛行士などには被ばくの問題も発生することが知られている。
NICTの宇宙天気予報業務
NICTは電波の伝わり方に関する予警報を発信することを目的に長年にわたり電離圏及び太陽活動の監視を行っており、1988年に本格的に宇宙天気予報の配信を開始した。現在は土日も含め毎日午後4時に宇宙天気予報情報をWeb及び電子メールで配信している。(http://swc.nict.go.jp/)
- 連絡先
- 総務省
・国際戦略局 宇宙通信政策課 西室衛星開発推進官、
川﨑係長、益井官