2018-1-23 水産庁
水産庁は、平成30年1月現在、第3管理期間(*)における我が国の総漁獲量が3,201トンと漁獲枠の3,424トンを超過するおそれが著しく大きいため、本日、全ての沿岸漁業者に対して、太平洋クロマグロの30キログラム未満の小型魚の漁獲に係る操業自粛要請を発出しました。
(*)第3管理期間については、沿岸漁業は平成29年7月から平成30年6月まで、沖合漁業は平成29年1月から12月までです。
1.背景
我が国は太平洋クロマグロの資源回復を図るため、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)での国際約束に基づき、平成22年より管理強化に取り組んできたところです。平成27年1月からは30キログラム未満の小型魚(以下「小型魚」という。)について2002年から2004年までの年平均漁獲実績から半減、30キログラム以上の大型魚について2002年から2004年の年平均漁獲実績を超えないように管理する措置を実施しています。
このような中、沖合漁業は、昨年12月でこれまでの自主管理期間が終わり、本年1月から資源管理法(*)に基づく数量管理を実施しています。また、沿岸漁業は、本年6月までが自主的管理期間で、資源管理法に基づく管理は本年7月から開始します。(下図参照)
なお、この資源管理を適切に実施していくため、水産庁では、各都道府県及び関係団体から報告された漁獲状況についてとりまとめ、以下のホームページに最新情報を掲載し、公表しています。
くろまぐろの部屋 太平洋クロマグロの漁獲状況について
http://www.jfa.maff.go.jp/j/tuna/maguro_gyogyou/gyokakujoukyou.html
(*)資源管理法:海洋生物資源の保存及び管理に関する法律
2.概要
1.漁獲の状況
自主管理期間中の第3管理期間における沿岸漁業については、一部都道府県での大幅な漁獲超過等に対応し、漁獲枠を超過した当該都道府県にはその時点で操業自粛を指示しています。また、漁獲枠を残す都道府県は、枠の遵守と自主的措置による漁獲抑制等を要請してきましたが、年末年始の漁により漁獲が積み上がり、沖合漁業を含めた我が国の総漁獲量は3,201トンと、漁獲枠3,424トン(*)の93%を消化しています。
(参考)
沖合漁業は漁獲枠1,606トンに対して、漁獲量は1,348トンで自主管理期間が終了しました。
沿岸漁業は今年6月まで管理期間が残っていますが、現時点で漁獲枠1,739トンに対し、漁獲量は1,853トンと超過する状況です。
漁獲枠を超過していない都道府県が、その残枠(約634トン)をこのまま消化した場合、昨年に引き続き全体の漁獲枠を大幅に超過し、WCPFCでの国際約束を果たすことができない状況です。
(*)全国の漁獲枠は、「くろまぐろ型TACに関する基本計画(試行、平成29年8月30日一部改正)」で設定。
2.対応方向
資源量が過去最低水準付近にあるクロマグロの資源回復を図ることは我が国の責務であり、以下の対応を行うこととします。
(1)沿岸漁業の操業自粛
国際約束の遵守のために、前述のとおり、小型クロマグロ操業の自粛を要請します。
(2)クロマグロ対策の活用(支援策)
今回の操業自粛要請により漁業者の収入が減少した場合、漁業収入安定対策事業によって、減収分の補てんが受けられることから、引き続き、加入促進を行います。
(3)理解の醸成
流通業者や消費者に対し幅広く情報発信し、クロマグロ管理への理解を図るため、全国説明会を開催するとともに、水産庁ホームページ等で情報を発信します。
(4)来期に向けた改善策の検討
本年7月以降は、沿岸漁業で罰則を伴う資源管理法に基づく数量管理が開始されるため、より厳格な管理を実施するための方策について更に検討します。
3.資源管理の内容
太平洋クロマグロについては、以下の内容で資源管理を行っています。
1.管理目標(当面の目標)
親魚資源量を10年以内(2024年まで)に少なくとも60パーセントの確率で歴史的中間値まで回復
2.我が国の第3管理期間の漁獲枠
(1)小型魚の年間漁獲枠
3,423.5トン(2002年から2004年までの我が国の年平均漁獲実績の50パーセント(4,007トン)から、第2管理期間の超過量(333.5トン)を差引くとともに、大型魚に振替(250トン)をした漁獲量)
内訳は以下のとおり。
(ア)沿岸漁業(曳き縄、定置網等) 1,739.2トン、水産庁の留保枠78.3トン
(イ)大中型まき網漁業 1,500トン
(ウ)近海竿釣り漁業等 62トン
(エ)かじき等流し網漁業等 44トン
(2)大型魚の年間漁獲枠
5,132トン(2002年から2004年までの我が国の年平均漁獲実績(4,882トン)に、小型魚から振替(250トン)をした漁獲量)
3.管理手法
(1)大中型まき網漁業、近海竿釣り漁業等とかじき等流し網漁業は漁業種類ごとに管理。
(2)沿岸漁業は都道府県別に漁獲枠を配分。ただし漁獲枠が極めて小さい等の場合は漁船漁業等の広域管理により管理し、定置漁業は共同管理により管理。
4.その他
<添付資料>
太平洋クロマグロに係る第3管理期間の資源管理の実施について(PDF : 384KB)
くろまぐろ型TACに関する基本計画(試行、平成29年8月31日一部改正)(PDF : 324KB)
第3管理期間の漁獲状況について(速報値) 【H30年1月時点】(PDF : 175KB)
くろまぐろ小型魚の漁獲に係る操業自粛の要請について(PDF : 134KB)
クロマグロ資源管理促進対策(PDF : 504KB)
お問合せ先
資源管理部管理課
担当者:竹越、森、山崎