2026-08-23 北海道大学,森林総合研究所
北海道大学と森林総合研究所の研究チームは、気候変動が日本全国349か所のスキー場に及ぼす影響を評価し、温暖化の進行に伴い営業可能なスキー場が大幅に減少するとの予測を示した。気候変動予測データを用いた積雪シミュレーションにより、過去気候、平均気温2℃上昇、4℃上昇の3条件で、自然積雪のみを前提とした営業可能性を比較した。その結果、2℃上昇では全面営業可能なスキー場は53か所、一部営業可能は108か所まで減少し、4℃上昇では全面営業可能なスキー場は全国でわずか7か所、一部営業可能も26か所にとどまると予測された。一方、北海道や長野県など高緯度・高標高地域では比較的安定した積雪が維持され、将来的にスキー観光がこれらの地域へ集中する可能性が示された。研究は、気候変動がウィンタースポーツや地域観光産業に深刻な影響を与えることを定量的に示すとともに、スキー機会の維持や観光政策、地域適応策の検討が重要であることを提起している。

a)過去実験(b)2℃上昇実験(c)4℃上昇実験における全部営業可能率と(d)過去実験(e)2℃上昇実験、(f)4℃上昇実験における一部営業可能率
<関連情報>
- https://www.hokudai.ac.jp/news/2026/08/47.html
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/seppyo/88/4/88_295/_article/-char/ja/
将来における日本全国のスキー場の存続可能性:自然積雪条件における気候変動影響評価の試み
吉沢 直, 勝山 祐太
雪氷 公開日: 2026/08/01
DOI:https://doi.org/10.5331/seppyo.88.4_295
抄録
本研究は,日本全国349箇所のスキー場を対象に,d4PDF5 kmデータとSNOWPACKモデルを組み合わせ,過去実験(1950~2010年)および全球平均気温2 °C・4 °C上昇実験の結果を比較することで,将来の自然積雪条件に基づくスキー場の存続可能性を評価した.その結果,温暖化の進行に伴いスキー場の存続可能性は急速に低下することが明らかとなった.特に4 °C上昇実験では,天然雪のみで安定的に全部営業が可能なスキー場は全国で7箇所,一部営業が可能なスキー場も26箇所に限られ,日本のスキー産業は壊滅的な影響を受けると予測された.一方,2 °C上昇実験では,高緯度・高標高のスキー場を中心に一定の営業可能性が残り,北海道や長野県の高標高地域に相対的な存続優位性が確認された.また,新雪日数も全国的に減少し,4 °C上昇実験では多くのスキー場で年間10日以下となる一方,一部地域では20日前後を維持する可能性が示された.以上の結果は,温室効果ガス排出削減による温暖化抑制の重要性と,スキー産業の地理的集約が進む中で,日本全体におけるスキー実践機会をいかに確保するかという実践的課題を提示している.


