2025-11-16 中山大学(SYSU)
中国・中山大学(SYSU)と中国科学院高能物理研究所(IHEP)が共同開発した、中国初の高エネルギー直接配置型非弾性中性子散乱飛行時間型分光器が2025年11月16日に正式稼働承認を受けた。本装置は中性子の高い透過性と電荷ゼロの特性を活かし、原子や分子のピコ秒スケールの運動を直接観測できる“超高性能カメラ”として機能し、物質の静的構造と動的特性を高精度に捉える。高温超伝導、量子磁性、イオン拡散など幅広い研究領域で活用が見込まれ、物理・化学・生物など多分野の研究者を支える国家的研究基盤となる。2017年の協定締結を起点に、2023年の施設稼働後は集中的な調整を実施し、長年の課題であった背景雑音を大幅に低減。全性能指標で世界先端レベルを達成した。本装置の完成は、中国の高エネルギー非弾性中性子散乱分野の空白を埋める画期的成果であり、科学インフラ整備におけるSYSUの技術力を強く示すものである。

<関連情報>


