世界最大規模の微細藻類生産設備「C4」で実証を本格開始～SAFの原料となる微細藻類の安定的な大量培養技術の確立を目指す～

2023-04-25

2023-04-25 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDOの「バイオジェット燃料生産技術開発事業／微細藻類基盤技術開発」（以下、本事業）で、（株）ちとせ研究所はこのたび、世界最大規模となる微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」（以下、C4）での実証を本格的に開始しました。また、これに伴い4月4日にマレーシアのサラワク州で開所式を行いました。

本実証は、隣接する火力発電所からの排気ガス中の二酸化炭素（CO₂）を活用して、微細藻類を生産するものであり、産業分野からの排気ガス中のCO₂を活用した5ha規模での微細藻類生産は世界初の取り組みとなります。

今後は、本設備を用いた微細藻類の培養実証を本格的に進め、持続可能な航空燃料（SAF）の原料であり、カーボンリサイクル技術の一つでもある微細藻類の安定的な大量培養技術の確立を目指します。

図1　世界最大規模となる、微細藻類生産設備「CHITOSE Carbon Capture Central」（C4）

1．背景

今後航空需要は長期的に拡大することが見込まれており、CO₂排出量削減による地球温暖化抑止対策が国際民間航空機関（ICAO）をはじめとした航空分野における喫緊の課題です。その対応策として、SAFの導入が必要不可欠な手段の一つに位置づけられています。

このような背景のもと、NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）は2020年度から本事業^※1のテーマ「熱帯気候の屋外環境下における、発電所排気ガスおよびフレキシブルプラスチックフィルム型フォトバイオリアクター技術を応用した大規模微細藻類培養システムの構築および長期大規模実証に関わる研究開発」（実施者：株式会社ちとせ研究所、以下、本テーマ^※2）に取り組んでいます。本テーマでは、ニートSAF^※3の原料であり、カーボンリサイクル技術の一つである微細藻類に関する実証事業を推進しています。具体的には、微細藻類の選定や育種、多様な培養方法について、商用化された際に培養するユニット単位となる規模で比較検証などの実証事業を行っています。

2．世界最大規模となる微細藻類生産設備C4※4での実証を本格開始

（株）ちとせ研究所は本テーマで2020年度から2022年度に、フォトバイオリアクター技術^※5を応用した大規模微細藻類培養システムの構築に向けて、隣接する火力発電所からの排気ガス成分のモニタリング方法の検討や微細藻類株の選定、同株（どうしゅ）の培養に利用可能な商業用培地の開発、培養期間や曝気（ばっき）条件、培養濃度がバイオマス生産性に与える影響の検証などの研究開発を推進しました。

そして今回のC4の稼働開始^※6に伴い、上記の研究開発成果を踏まえて、2023年度から2024年度にわたり、隣接する火力発電所からの排気ガス中のCO₂を活用した、長期的かつ大規模な微細藻類生産の実証試験を本格的に開始しました。なお、産業分野からの排気ガス中のCO₂を活用した5ha規模での微細藻類生産は世界初の取り組みとなります。

今後は、本設備を用いた微細藻類の培養実証を本格的に進め、ニートSAFの原料であり、カーボンリサイクル技術の一つでもある微細藻類について、安定的な大量培養技術の確立を目指します。

図2　隣接する火力発電所および微細藻類生産設備「C4」

3．開所式

4月4日（現地時間）にマレーシア　サラワク州で、在マレーシア日本国大使やサラワク州政府、日本国内省庁、企業などから多数のご来賓出席のもと、開所式を執り行いました。

弓取NEDO理事のあいさつに続いて髙橋日本国大使、サラワク州政府 Deputy State SecretaryのYBhg. Datu Dr. Muhammad Abdullah bin Haji Zaidel氏より祝辞が述べられました。式典では、藤田ちとせグループCEOより開所宣言が述べられました。

図3　開所式の様子