翼型ナノグラフェンの合成と性質~2つの芳香環に囲まれた空間の芳香族性~

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2022-01-31 愛媛大学

概要

愛媛大学大学院理工学研究科のFan WU博士研究員(現在、南京大学 研究員)、高瀬雅祥准教授、宇野英満教授らのグループは、南京大学化学化工学院のZhen SHEN教授らの研究グループと共同で、翼型含窒素ナノグラフェンの合成に成功し、その特徴的な構造の解析、ならびに酸化還元や芳香族性に関する物性解明を行いました。これまでにも母骨格であるヘキサピロロヘキサアザコロネン(HPHAC)の合成報告例があり、多段階の安定な酸化還元特性や大環状共役にもとづく芳香族性などの性質が明らかにされてきました。しかしその全ての研究例は、類縁体を含む単量体の合成とその物性解明に関する研究で、二量体構造を持つ誘導体に関する研究例はありませんでした。本研究では、剛直なビシクロオクタジエン骨格を用いて、互いの磁気的・電子的性質が影響を及ぼし合う位置に空間配置されたHPHAC二量体が合成されました。単量体と同様に新たに合成された二量体も安定な酸化還元特性を示し、その折れ曲がった構造が形成する特徴的な集積化様式や二つの芳香環に囲まれた空間の芳香族性が増大されることが明らかにされました。
研究成果は、2021年12月13日にアメリカ化学会誌「Organic Letters」の電子版に掲載されました。

翼型ナノグラフェンの合成と性質~2つの芳香環に囲まれた空間の芳香族性~
翼型ナノグラフェンの合成と性質 © 2021 American Chemical Society
ポイント
  • 剛直なビシクロオクタジエン骨格を用いた翼型ナノグラフェン(HPHAC二量体)が合成された。
  • 各HPHACユニットは多段階の酸化還元特性を示し、その酸化状態に応じた集積化様式が明らかにされた。
  • 二つのHPHACに囲まれた空間では、増大された芳香族性が示唆された。

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お問い合わせ

 

愛媛大学理工学研究科 准教授 髙瀬 雅祥
愛媛大学理工学研究科 教授 宇野 英満

0500化学一般
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