2024-02-15 アメリカ合衆国・国立標準技術研究所(NIST)
・ NIST が、環境中の PFAS(パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル化合物)の包括的なモニタリングを可能にするデータベースを開発。
・ 「永久に残る化学物質」とも言われる PFAS は、耐汚染衣料やファーストフードの包み紙等の多くの製品に使用されているが、特定の PFAS に発がん性等の健康への影響を懸念させる証拠が発見されている。
政府機関や環境系組織による PFAS のモニタリングが実施されているが、PFAS には数千種類もの類似した化学構造があり、明確に判定できるものは極わずかである。
・ 例えば、魚釣りに利用される湖の PFAS レベルを調べたい場合には、研究室にサンプルを送って試験を依頼するが、PFAS の種類の多くが定量分析の対象外。また、研究室の PFAS データが不完全・未更新の場合もある。新たな PFAS の種類が次々に発見されているため、既知・未知の PFAS の化学構造の知見を収集・整理する中央データベースの維持が困難となっている。
・ 新 PFAS データベースは、サンプルに潜む既知・未知の PFAS の情報を包含する「対象外」のものも含んだ、化学分析データ中の PFAS の同定・分類を支援する初めてのデータベースとして、環境汚染モニタリングや他のアプリケーションに無料で利用できる。
・ PFAS は、耐熱・耐油・耐水性の化学的特性のため、1940 年代に消費者製品や産業界で初めて使用された。PFOA(ペルフルオロオクタン酸)等の一部の種類は置き換えられているが、一般的に PFAS の分解に時間がかかり、環境中に漏出する。土壌、大気、食品、水で発見されており、様々な製造プロセス、消費者製品、防火剤に使用されていた。
・ 新 PFAS データベースには、高分解能の質量分析データが含まれ、現時点で 132 種類の PFAS のスペクトルを含む(使用測定機器やサンプルの種類等の情報は各エントリーに付随)。また、PFAS である可能性の高い厳選された約 5,000 種類の化学物質のリストも含まれる。
・ 廃水、水道水、地表水、地下水等に含まれる PFAS の特定に使用でき、データ分析の専門家だけでなく、あらゆるユーザーによる利用を視野にユーザーガイドも作製。オフラインでの使用、データの追加・共有も可能で GitHub でソフトウェアツールキットも入手できる。食品中の汚染物質や農薬等の PFAS 以外の化学物質の同定・整理にも、データベースの要素を利用することができる。
URL: https://www.nist.gov/news-events/news/2024/02/new-nist-database-forever-chemicals-will-help-scientists-monitor
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
NIST Public Data Repository.
Database Infrastructure for Mass Spectrometry – Per- and Polyfluoroalkyl Substances
URL: https://data.nist.gov/od/id/mds2-2905
Abstract
Data here contain and describe an open-source structured query language (SQLite) portable database containing high resolution mass spectrometry data (MS1 and MS2) for per- and polyfluorinated alykl substances (PFAS) and associated metadata regarding their measurement techniques, quality assurance metrics, and the samples from which they were produced. These data are stored in a format adhering to the Database Infrastructure for Mass Spectrometry (DIMSpec) project. That project produces and uses databases like this one, providing a complete toolkit for non-targeted analysis. See more information about the full DIMSpec code base – as well as these data for demonstration purposes – at GitHub (https://github.com/usnistgov/dimspec) or view the full User Guide for DIMSpec (https://pages.nist.gov/dimspec/docs).
Files of most interest contained here include the database file itself (dimspec_nist_pfas.sqlite) as well as an entity relationship diagram (ERD.png) and data dictionary (DIMSpec for PFAS_1.0.1.20230615_data_dictionary.json) to elucidate the database structure and assist in interpretation and use.