2024-01-09 京都大学
強誘電性と強磁性を併せ持つマルチフェロイック材料は、次世代情報記憶デバイスとしての可能性から、過去20年間に大きな進展がありましたが、その対象はほぼ酸化物に限られていました。物質エネルギー化学専攻の朱童特定助教、高津浩准教授、セドリック・タッセル准教授、陰山洋教授、ノースウェスタン大学、東北大学、大阪大学、高エネルギーアクセラレータ研究機構との共同研究により、マルチフェロイック特性を示すペロブスカイト塩化物を発見しました。従来の酸化物では電場や磁場で制御されていましたが、塩化物を用いることで温度での制御に初めて成功しました。塩化物の柔軟性に加え、より低い電荷の金属を用いることができるなど材料開発の幅を大きく拡げ、実用的なデバイスの開発を促進するものと期待されます。
本成果は、Nature Materials誌に2024年1月5日10:00現地時間に掲載されました。
研究詳細
塩化物による強誘電と強磁性の同時熱制御―塩化物におけるマルチフェロイックスの開拓―
研究者情報
高津 浩
セドリック・タッセル
陰山 洋
書誌情報
タイトル
Thermal multiferroics in all-inorganic quasi-two-dimensional halide perovskites (層状ハライドペロブスカイトにおける熱的マルチフェロイックス特性)
著者
Tong Zhu, Xue-Zeng Lu, Takuya Aoyama, Koji Fujita, Yusuke Nambu, Takashi Saito, Hiroshi Takatsu, Tatsushi Kawasaki, Takumi Terauchi, Shunsuke Kurosawa, Akihiro Yamaji, Hao-Bo Li, Cédric Tassel, Kenya Ohgushi, James M. Rondinelli*, Hiroshi Kageyama*
掲載誌
Nature Materials
DOI
10.1038/s41563-023-01759-y