初期地球マグマの酸化状態に関する実験的制約~地球の大気とマントルの酸化状態は、時間と共にどのように変化したのだろうか?~

ad

2023-07-12 愛媛大学

研究の概要

惑星マントル内部の二価鉄(Fe2+)と三価鉄(Fe3+)の分布は、火山ガス組成や惑星表面環境に影響を与えます。

愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センターの桑原秀治助教らの研究グループにより、新たに行われた実験的研究において、現在と比較してFe3+に富むとても酸化的なマグマの海とそこから固化したマントルが形成したことが示されました。こうした結果は、初期地球大気が現在の金星大気のように非常に酸化的であり、おそらくCO2とSO2に富んでいたことを示唆しています。

研究のポイント
  • 地球形成直後のマントルの酸化状態は火山ガス組成に影響を与え、当時の大気を知る重要な手がかり与えてくれるがよくわかっていなかった。
  • 地球形成期に溶融したマントルが結晶化する際に起こる鉱物-マグマ間の二価鉄(Fe2+)と三価鉄(Fe3+)の分配反応を高圧実験によって調べた。
  • 桑原助教ら研究グループによる実験の結果、地球形成期に溶融したマントルは現在と比べてかなり酸化的であり、当時の大気がCO2とSO2に富む現在の金星に似た大気組成を持つことを示唆した。


高圧実験回収試料の断面組織

論文情報

掲載誌:Earth and Planetary Science Letters
題名:Partitioning of Fe2+ and Fe3+ between bridgmanite and silicate melt: Implications for redox evolution of the Earth’s mantle
(和訳:ブリッジマナイトとメルト間のFe2+とFe3+の分配:地球マントルの酸化還元度の進化への示唆)
著者:Hideharu Kuwahara, Ryoichi Nakada
DOI:10.1016/j.epsl.2023.118197
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0012821X23002108

プレスリリース資料はこちら(PDFファイル 549KB)

本件に関する問い合わせ先
愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター
助教 桑原 秀治

ad

1700応用理学一般
ad
ad
Follow
ad
タイトルとURLをコピーしました