2023-05-31 東京大学
東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻の青木翔平講師を中心とする研究チームは、欧州火星探査機ExoMars Trace Gas Orbiterの観測データを用いて、火星大気に存在する一酸化炭素が炭素13※1に乏しい事を明らかにしました。火星大気の主成分である二酸化炭素が、太陽からの光を受けて一酸化炭素に分解される際に、炭素12がより選択的に壊されるためであると考えられます。火星地表面上で見つかっている有機物も炭素13に乏しい事から、大気の光化学が有機物を作る過程で重要な役割を担った可能性を示唆しています。
※1炭素13: 炭素の安定同位体で、通常の炭素12に比べて中性子が1つ多い。
欧州宇宙機関(ESA)によるプレスリリース (2023年5月31日)
“Unusual carbon balance at Mars explained by sunlight and chemistry, finds ExoMars”
論文情報
〈雑誌名〉
The Planetary Science Journal
〈タイトル〉
Depletion of 13C in CO in the Atmosphere of Mars Suggested by ExoMars-TGO/NOMAD Observations
〈著者〉
Aoki, K. Shiobara, N. Yoshida, L. Trompet, T. Yoshida, N. Terada, H. Nakagawa, G. Liuzzi, A. C. Vandaele, I. R. Thomas, G. L. Villanueva, M. A. Lopez-Valverde, A. Brines, M. R. Patel, S. Faggi, F. Daerden, J. T. Erwin, B. Ristic, G. Bellucci, J. J. Lopez-Moreno, H. Kurokawa, and Y. Ueno
〈DOI〉
10.3847/PSJ/acd32f
〈URL〉
https://iopscience.iop.org/article/10.3847/PSJ/acd32f
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新領域創成科学研究科 広報室