「リアルタイムPCRによるサツマイモ基腐病菌の検出・同定技術標準作業手順書」を公開

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2023-03-27 農研機構

ポイント

  • 農研機構は、サツマイモ基腐病1)の病原菌をリアルタイムPCR2)によって検出・同定する技術の普及を進めるため、標準作業手順書(SOP)3)を作成し、本日ウェブサイトで公開しました。
  • 本SOPを参照して検査することにより、国内に広く発生する類縁菌と基腐病菌を迅速かつ正確に区別して検出・同定できます。
  • 国や県の公設試験場や民間の検査会社等による迅速・高精度診断が可能になり、同病の被害の拡大阻止に貢献します。

概要

サツマイモ基腐病(基腐病)は、サツマイモの茎葉の枯死および塊根の腐敗を引き起こす病害で、産地に深刻な被害をもたらします。感染した種苗や罹病残さの移動により発生域が拡がります。我が国では2018年に初めて発生が確認され、現在は31都道府県において発生が確認されています(2023年2月末時点)。本病を防ぐためには、基腐病の病原菌を「持ち込まない」、「増やさない」、「残さない」ことが重要であり、そのためには病原菌による汚染が疑われるサツマイモから迅速に菌を検出する技術が必要です。農研機構は本病の早期診断を可能とする本病原菌の新たな検出・同定技術を開発し、本成果をプレスリリース(2021年8月27日)いたしました。

(研究成果) サツマイモ基腐病菌の新しい検出・同定技術を開発
– リアルタイムPCRにより迅速かつ正確な診断が可能に –
https://www.naro.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nipp/143594.html

このたび、このリアルタイムPCRによるサツマイモ基腐病を検出・同定する技術のSOPを作成し、本日、農研機構の以下のウェブサイトに公開しました。
https://www.naro.go.jp/publicity_report/publication/laboratory/naro/sop/157697.html

本SOPは、国や県の公設試験場、民間の検査会社等の基腐病の診断を必要とする方、その業務に携わる組織の職員が読むことを想定し、作成しています。サツマイモ基腐病の被害に悩む産地はもとより、侵入を警戒する地域で本病における遺伝子検査の手引きとして活用され、本病発生の早期発見に基づく速やかな防除対策の実施により、被害の抑制に貢献します。

問い合わせ先など

研究推進責任者 :
農研機構植物防疫研究部門 所長眞岡 哲夫

広報担当者 :
同 渉外チーム長松下 陽介

詳細情報

用語の解説
1)サツマイモ基腐病(もとぐされびょう)
糸状菌(Diaporthe destruens)によるサツマイモの病害で、名前の由来は地際(株元)が黒く腐ることによります。発病が進むと地下部では塊根がなり首から腐敗し、地上部は枯死します。感染した種イモも感染源となり、また症状がみられなかった塊根でも貯蔵中に腐敗することがあります。
2)リアルタイムPCR
PCRとは、耐熱性DNA合成酵素を用いて人工的に特定のDNA断片を増幅する技術で、微量のDNA試料から標的とするDNA断片を検出でき、病気の診断等にも用いられます。このPCRでは通常、20~40サイクルの反復反応を行います。リアルタイムPCRでは、その各サイクルごとに増幅されたDNA量を測定・観察することで、もとの試料中に含まれる標的DNAを検出・定量できます。
3)標準作業手順書(SOP: Standard Operating Procedures)
技術の必要性、導入条件、具体的な導入手順、導入例、効果等を記載した手順書。農研機構は重要な技術についてSOPを作成し、社会実装(普及)を進める指針としています。
1202農芸化学
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