2022-06-13 アメリカ合衆国・マサチューセッツ工科大学(MIT)
・ MIT が、玩具ブロックの LEGO のように積み重ねられて(stackable)再構成できる(reconfigurable)、人工知能(AI)チップを開発。
・ 一般的なモジュラーチップ設計では、ワイヤ配線を使用して各層間で信号を中継する。切断や再配線が不可能ではないが困難であり、積み重ねが可能だが再構成できない。新機能の追加には、チップを新たに作製する必要がある。
・ 新 AI チップはセンシング層、プロセッシング層と光を使って信号を送信する LEDs 層より構成され、ワイヤ配線の代わりに光による情報通信システムを利用。センサーの追加やプロセッサの更新でチップを再構成できる。
・ 光通信システムは、微細なピクセルパターンをもつ光検出器と LED 層で構成。光検出器は画像センサーとしてデータを受信し、LED はデータを次の層に送信する。信号(例えば文字画像)が画像センサーに届くと、画像の光パターンが LED ピクセルの特定の構成をエンコードし、次にそれが光検出器の別の層と人工シナプスアレイに刺激を与え、LED 光のパターンと強度に応じて信号を分類する。
・ 現時点の AI チップは、画像センサー、人工シナプスによるプロセッサ(過去に開発したメモリスタのアレイ)と光通信層から成る、ニューラル・ネットワーク(NN)または「ブレイン・オン・チップ」として機能.して基本的な画像認識タスクを実行する構成。各アレイは、外部ソフトウェアやインターネットへの接続無しでチップ上で信号を直接処理・分類するように訓練できる。
・ 約 4mm 四方のコンピューティングコアのチップに画像センサー、光通信層と人工シナプスアレイの 3つの「ブロック」を積層して文字画像を認識する試験では、 M、I、T の各文字が明確な画像は正確に分類したが、I と T のぼやけた画像では失敗。チップのプロセス層をノイズ除去プロセッサに交換すると正確に分類できた。
・ スーパーコンピューターやクラウドベースのコンピューターのような、集中型・分散型リソースから独立した電源自給式センサーや、エレクトロニクス等のエッジコンピューティングデバイスでの利用を目指す。
・ 今後はセンシングやプロセッシングの機能をチップに追加して行く予定。消費者が好みの機能のNN 層等を追加できる汎用チッププラットフォームの作製等、アプリケーションは無限にある。
・ 本研究は、韓国産業通商資源部(MOTIE)、韓国科学技術研究院(KIST)および Samsung Global Research Outreach Program が支援した。
URL: https://news.mit.edu/2022/stackable-artificial-intelligence-chip-0613
<NEDO海外技術情報より>
関連情報
Nature Electronics 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Reconfigurable heterogeneous integration using stackable chips with embedded artificial intelligence
URL: https://www.nature.com/articles/s41928-022-00778-y
Abstract
Artificial intelligence applications have changed the landscape of computer design, driving a search for hardware architecture that can efficiently process large amounts of data. Three-dimensional heterogeneous integration with advanced packaging technologies could be used to improve data bandwidth among sensors, memory and processors. However, such systems are limited by a lack of hardware reconfigurability and the use of conventional von Neumann architectures. Here we report stackable hetero-integrated chips that use optoelectronic device arrays for chip-to-chip communication and neuromorphic cores based on memristor crossbar arrays for highly parallel data processing. With this approach, we create a system with stackable and replaceable chips that can directly classify information from a light-based image source. We also modify this system by inserting a preprogrammed neuromorphic denoising layer that improves the classification performance in a noisy environment. Our reconfigurable three-dimensional hetero-integrated technology can be used to vertically stack a diverse range of functional layers and could provide energy-efficient sensor computing systems for edge computing applications.