5G ネットワークスライスの自動運用の実現にむけて 国内事業者として初めて ETSI ZSM 公認を受けた実証実験に成功

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2022-03-11 株式会社 NTTドコモ

株式会社 NTT ドコモ(以下、ドコモ)は、NTT コミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)、日本電信電話株式会社 ネットワークサービスシステム研究所(以下、NS 研)、日本電信電話株式会社ネットワークイノベーションセンタ(以下、NIC)の 3 者と共同で、5G ネットワークスライス※1 の自動運用を実現する E2EO(エンドツーエンドオーケストレーション技術)について、国内通信事業者として初めて※2 、標準化団体である ETSI(欧州電気通信標準化機構) ZSM(Zero touch network and Service Management)の公認を受けた実証実験に成功しました。

5G ネットワークスライスの実現により、お客さまの多様なニーズに柔軟に対応する高品質で経済的なネットワークを提供するため、ドコモでは無線基地局からコアネットワーク設備までのネットワーク制御を一元的に統括し、モバイルネットワーク全体で 5G ネットワークスライスをコントロールする E2EO の実用化に向けた検討を進めております。
E2EO によって、5G ネットワークスライスの構築や監視、運用保守といったオペレーションの自動化を実現し、通信事業における DX を推進するとともに、お客さまに迅速にサービスを提供することが可能となります。


【5G モバイルネットワークにおける E2EO の役割】

本実証実験では、ZSM によって標準化された最新の仕様(以下、ZSM 仕様)に準拠しつつ、実運用を想定したマルチベンダ環境において、トランスポートネットワーク※3 やコアネットワークといった複数のドメインにまたがった 5G ネットワークスライスの自動制御を実現しました。具体的には、NTT グループである NTT Com、NS 研 、NIC の技術を活用して E2EO および E2EO が制御する対象である 5G モバイルネットワークを実験環境上に構築し、実際の運用を想定した動作の一つとして、E2EO からの制御による 5G ネットワークスライスの生成や削除の自動制御に成功しました。これらの実証実験を通じて ZSM 仕様の充足度を確認し、商用環境で運用するために必要な技術要件を具体化しています。

ETSI は、1988 年に設立された欧州の電気通信技術に関する標準化団体で、65 か国から 900 以上の企業・研究機関が参加しています。ワーキンググループの一つである ZSM では、ネットワーク運用における自動化技術の標準化を進めるため、参画する各社が議論を重ねています。
E2EO の実現に向けて、ドコモは 2018 年から ZSM において中心的なメンバーとして標準仕様化を推進してきました。ZSM が定める PoC 要件に準拠した本実証実験は ZSM に公認され、実証内容から得られた知見やフィードバックにより仕様策定の検討促進に寄与します。これにより、より多くの装置ベンダやオペレーターにおいて ZSM 仕様に基づく実装やサービス検討が加速し、5G ネットワークスライスの E2EO が実現に向けて前進することが期待されます。
また、本実験で実証したネットワークスライスの自動制御は、NTT グループが推進する IOWN 構想におけるコグニティブファウンデーション※4 、および機能別専用ネットワーク※5 の具現化に資するものであり、今後の技術開発を通じて、さまざまな ICT リソース制御の自動化をめざしてまいります。

ドコモは、NTT Com・NS 研・NIC の 3 者と共同で行った本実証実験の成果を基に将来的な導入に向けた検討を進めるとともに、5G Evolution や 6G に求められるネットワークの提供に向けた技術検討を推進してまいります。

※1 ネットワークを仮想的に分割し、超低遅延や高速大容量といった利用用途に応じたネットワークを提供する技術。
※2 ETSI ZSM に公認を受けた実証実験として国内事業者で初めて。2022 年 3 月ドコモ調べ。
※3 無線基地局とコアネットワーク設備を接続するネットワーク。
※4 社会システムを支える ICT リソースの配備・設定・連携、そして管理・運用を一元的に実施する仕組み。 ※5 IOWN の APN(All Photonics Network)や DCI(Data Centric Infrastructure)などの ICT リソースを最適に組み合わせ、さまざまな要件を持つ通信サービスに特化した機能や性能を具備したネットワーク環境を実現し、共存させるためのアーキテクチャ。

本件に関する報道機関からのお問い合わせ先
株式会社 NTT ドコモネットワーク開発部 E2E オーケストレーション担当

実証実験の概要
1.目的
E2EO による 5G ネットワークスライスの自動制御を実現することにより、ZSM 仕様で定める制御機能の充足度やネットワークスライスの制御に関する情報の取り扱い方を確認し、また、商用環境で運用するために必要な技術要件を具体化しました。

2.概要
本実証実験では、実運用を想定したマルチベンダ環境において、トランスポートネットワークやコアネットワークなどの複数ドメインにまたがった、5G ネットワークスライスの自動制御を実現しました。
実証実験の各構成要素には、ZSM で規定するアーキテクチャに即したシステム構成とマネジメントサービスを実装し、一部規定が不十分なトランスポートネットワーク制御ドメインや各ネットワーク間の相互接続を担うインターワーク制御ドメインのインタフェース仕様についても、不足部分を具現化することで ZSM 仕様による 5G ネットワークスライスの生成や削除といった動作の自動制御を実現しました。

【実施期間】
2021 年 11 月~2022 年 3 月

【実証実験で使用した技術要素】
NTT Com
Qmonus® :クラウドネイティブアプリケーションの開発およびデリバリ/運用を高度化するための Platform as a Service
NS 研
マルチレイヤ設計制御:スライス品質要件に応じた光/パケットのトランスポートネットワークの SDN※1制御技術 5G コンテナ設計制御(ACPE):5G のクラウドネイティブネットワーク機能※2に割り当てるサーバリソース設計最適化エンジン
NIC
ワンストップ構築エージェント(APIO):マルチドメインのサービスを API 連携により一括で構築するオーケストレーション技術スライスゲートウェイ(SLG):ネットワークエンドツーエンドのスライス接続 (ネットワークスライス間閉域接続、ネットワーク品質制御)を提供 HANMOC:ネットワークスライスごとにサービス品質(高精度遅延など)を測定する技術別紙


【実証実験の構成イメージ】

3.各者の役割
ドコモ
・実証実験の総括
・ZSM 仕様に基づいた実証シナリオの立案やシーケンスの明確化
・ZSM との調整

NTT Com
・Qmonus SDK など、Qmonus 開発環境の提供
・E2EO に相当する機能の実装

NS 研
・NIC ・トランスポートネットワーク、コアネットワーク、インターワーク制御の各ドメインコントローラ機能の方式検討および実装
・5G モバイルネットワークが動作する実験環境の提供

※1 SDN(Software Defined Networking)は、ソフトウェアを用いてネットワークを制御する技術の総称。
※2 CNF(Cloud native Network Function)は、コンテナ技術によりクラウド上で動作するように設計・実装されたネットワーク機能。

* 「Qmonus® 」は NTT コミュニケーションズ株式会社の登録商標です。

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