2022-02-08 国土地理院
全国の地殻変動概況
国土地理院が全国に展開している電子基準点等のGNSS連続観測網(GEONET)の観測結果から求めた、2021年12月中旬から2022年1月中旬までの1か月間の地殻変動概況は、別紙1~7のとおりです。東北地方を中心に、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
火山周辺では、硫黄島において地殻変動が見られます。
トピックス
- 1月22日1時8分に発生した日向灘の地震(M6.6、最大震度5強)に伴い、電子基準点「宇目」や「米水津」で水平方向にわずかな変動が、上下方向では「北川」や「大分佐伯」で1cm程度の沈降が見られるなど、大分県や宮崎県北部とその周辺で小さな地殻変動が観測されました。(別紙8)
- GNSS観測によると、2020年夏頃から紀伊半島西部・四国東部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、紀伊水道周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙9)
- GNSS観測によると、2019年春頃から四国中部でそれまでの傾向とは異なる地殻変動が観測されています。この変動は、四国中部周辺のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙10)
- GNSS観測によると、2020年夏頃から九州南部で観測されている、それまでの傾向とは異なる地殻変動は、最近は停滞しているように見えます。この変動は、日向灘南部のプレート境界深部における長期的ゆっくりすべりに起因するものと推定しています。(別紙11)
- 石川県能登地方では、GNSS観測によると、2020年12月頃から「能都」で南南西方向の変動が、「珠洲」で隆起が見られるなど、この地域の地震活動とほぼ同期して地殻変動が観測されています。 (別紙12)
- 硫黄島では、「硫黄島1」及び「M硫黄島A」で隆起が、「硫黄島2」で南向きの変動が継続しています。(別紙13)
- 西之島では、だいち2号によるSAR干渉解析結果によると、2021年11月19日から2022年1月28日の間に、火砕丘の北東側に衛星から遠ざかる変動が見られ、島の南側の広い範囲に衛星から遠ざかる変動が見られます。また、2022年1月28日のSAR強度画像では、火砕丘の火口の西側に変化が見られます。(別紙14)
- 阿蘇山では、阿蘇山を取り囲む基線で2021年9月頃から見られていた伸びは、2021年12月頃から停滞しています。(別紙15)
- 桜島周辺では、鹿児島(錦江)湾を挟む「鹿児島郡山」-「鹿児島福山」等の基線で2021年11月頃からわずかな伸びが見られます。また、桜島島内の「桜島」-「鹿児島2」等の基線で2021年11月頃からわずかな伸びが見られます。(別紙16)
- 薩摩硫黄島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙17)
- 口永良部島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙18)
- 諏訪之瀬島では、顕著な地殻変動は観測されていません。(別紙19)
補足説明
- 全国の1年間(2021年1月中旬から2022年1月中旬まで)の地殻変動からは、以下のような傾向が見られます。(別紙20)
- 東北地方を中心とした広い範囲で、平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の余効変動が見られます。
- 硫黄島では、島内の地殻変動が見られます。
- その他の地方では、プレート運動による定常的な地殻変動が見られます。
別紙一覧
別紙8 日向灘の地震(1月22日 M6.6)前後の観測データ (PDF形式:367KB)
別紙9 紀伊半島西部・四国東部の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.1MB)
別紙10 四国中部の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.5MB)
別紙11 九州地域の非定常的な地殻変動 (PDF形式:1.2MB)
別紙12 石川県能登地方の地震活動時の観測データ (PDF形式:338KB)
別紙17 薩摩硫黄島周辺の地殻変動 (PDF形式:362KB)
別紙18 口永良部島周辺の地殻変動 (PDF形式:330KB)
別紙19 諏訪之瀬島周辺の地殻変動 (PDF形式:387KB)
別紙20 全国の地殻変動(水平)-1年間- (PDF形式:991KB)
出典
本資料を利用する際は、国土地理院コンテンツ利用規約に従ってご利用ください。 なお、利用にあたっては、出典の記載をお願いします。 (出典記載例) 「出典:国土地理院」
問い合わせ先
国土交通省国土地理院
測地観測センター 地震調査官 和田 弘人
測地観測センター 地殻監視課長 仲井 博之
地理地殻活動研究センター 地理地殻活動総括研究官 黒石 裕樹