地球深部マントルの主要構成物質の一つであるメジャーライト(高圧ザクロ石)の弾性波速度測定から推測される沈み込みスラブの行方と挙動
2021-08-25 愛媛大学
概要
愛媛大学などからなる研究者グループは、超高温超高圧の状態において、地球を構成するザクロ石の一種であるメジャーライトと呼ばれる鉱物の超音波伝播速度の測定実験に成功しました。この実験は、地球のマントル遷移層(地球の表面の下、深さ410 kmから660 kmの領域)の底に相当する、約18万気圧、1700℃の超高温超高圧の条件下で行われました。その条件下でのメジャーライトの測定実験は今まで行われていませんでした。今回の実験成功により、いまだに明確な解明がなされていないマントル遷移層の鉱物組成の推定に重要な手がかりが得られました。マントル遷移層の上端である深さ410km付近における地震波速度の観測値については、ザクロ石に含まれるマグネシウムやアルミニウムの割合によって説明できる可能性があります。一方、地表下560kmより深部のマントル遷移層については、それだけでは観測値が説明出来ず、マントルにおける物質の循環や混合といったダイナミックな挙動が影響しているかも知れません。
お問い合わせ
愛媛大学地球深部ダイナミクス研究センター 助教 Steeve Gréaux(スティーブ グレオ)