プラスチック製造のエネルギー効率をさらに向上 (Making Plastics Production More Energy Efficient)

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2021/3/19 アメリカ合衆国・ノースウェスタン大学

プラスチック製造のエネルギー効率をさらに向上 (Making Plastics Production More Energy Efficient)

・ ノースウェスタン大学が、より少ないエネルギーでプロピレンを高収率で生成する触媒技術を実証。より効率的なプラスチック生産プロセスの実現が期待できる。
・ プロピレンは毎年 1 千億ドル超に相当する量が製造され、自動車部品の射出成形から消費者製品まで多様な材料用のポリプロピレンの生産に主に利用されている。約 800℃の高温度でプロパンガスをプロピレンに変換するため、製造にはエネルギーを大量に消費する。
・ 高温度を使用せずにプロパンをプロピレンに転換する方法の一つとして、酸化脱水素技術が長らく研究されているが、プロピレンの酸素への反応性がプロパンよりも高いため、プロピレンの生成量が少なくなる。
・ 今回、このような酸化脱水反応を脱水素と選択的な水素燃焼に分離し、特定の順序で両反応を起こすタンデム触媒を開発。これまでの報告で最も高収率のプロピレン生成を達成した。
・ プロパンから選択的に水素を取り出してプロピレンを作る白金ベース触媒上に、選択的に水素のみを燃焼する酸化インジウムベース触媒を配置したナノスケールのタンデム触媒を作製。同触媒のナノ構造が、同反応の分離・順序を可能にする。このような構造は生物では一般的だが、人工的な材料としては極めてまれ。
・ 同触媒の試験では、プロパンの炭素原子の 75%超がプロピレンを生成し、450℃下のリアクタの一回通過で 30%の収率達成を確認。酸素の不在下でプロパンを燃焼した際に 24%を超える収率の達成は不可能であり、触媒は不安定となる。熱力学的限界を超えたこのような高収率を今回初めて実証した。
・ 現行の高収率の手法では、より複雑で高コストなソリューションが必要となるが、同触媒システムのシンプルな設計は、リアクタ条件の調整と触媒の 2 つの構成要素の変更によりさらなる最適化が可能。
・ 今回の発見は、高性能触媒システム研究に新構成と合理的方策を付与するもの。エネルギー消費が最重要課題で従来のエンジニアリングによる手法の実施が困難となっている、より小規模な化学プラントにおいて特に有効となる。
・ 本研究は、米国立科学財団(NSF)の Center for Innovative and Strategic Transformation of Alkane
Resources(CISTAR)が資金を提供した。
URL: https://www.mccormick.northwestern.edu/news/articles/2021/03/making-plastics-production-more-energy-efficient.html

<NEDO海外技術情報より>

(関連情報)

Science 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Tandem In2O3-Pt/Al2O3 catalyst for coupling of propane dehydrogenation to selective H2
combustion
URL: https://science.sciencemag.org/content/371/6535/1257

Abstract

Tandem catalysis couples multiple reactions and promises to improve chemical processing, but precise spatiotemporal control over reactive intermediates remains elusive. We used atomic layer deposition to grow In2O3 over Pt/Al2O3, and this nanostructure kinetically couples the domains through surface hydrogen atom transfer, resulting in propane dehydrogenation (PDH) to propylene by platinum, then selective hydrogen combustion by In2O3, without excessive hydrocarbon combustion. Other nanostructures, including platinum on In2O3 or platinum mixed with In2O3, favor propane combustion because they cannot organize the reactions sequentially. The net effect is rapid and stable oxidative dehydrogenation of propane at high per-pass yields exceeding the PDH equilibrium. Tandem catalysis using this nanoscale overcoating geometry is validated as an opportunity for highly selective catalytic performance in a grand challenge reaction.

0504高分子製品
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