宇宙を飛び交うニュートリノの動きを明らかに~世界初の6次元シミュレーションに成功~

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2020-12-03 京都大学

田中賢 基礎物理学研究所特定研究員、吉川 耕司 筑波大学講師、吉田直紀 東京大学主任研究者・教授、斎藤俊 ミズーリ州立ミズーリ工科大学助教授の研究グループは、筑波大学と東京大学が新たに開発したブラソフ方程式の高精度計算手法と、国内を代表するスーパーコンピュータを組み合わせることによって、ブラソフ方程式を直接解き、宇宙を高速で飛び交うニュートリノの6次元数値シミュレーションを行うことに、世界で初めて成功しました。

物質を構成する基本的な素粒子の一つであるニュートリノは我々の宇宙に大量に存在し、わずかながら質量を持つことが知られています。しかし、その質量は、地上の素粒子実験などでは測定が困難で、未解明の謎として残っています。一方、宇宙における天体や物質の分布(大規模構造)の詳細な観測からニュートリノの質量を測定できることが近年の宇宙進化の理論によって示され、大型観測プロジェクトが世界中で計画されています。

理論的には、精緻な数値シミュレーションにより宇宙の大規模構造を詳細に再現することが必要ですが、そのためには、多次元空間中での素粒子の集団的な運動を記述する「ブラソフ方程式」を解かなくてはなりません。この難解な方程式を解くためには膨大な計算時間やコンピュータの記憶容量が必要なため、これまではニュートリノの分布を仮想的な粒子の分布に置き換え、近似的な解を得ることしかできませんでした。しかしこの方法では、再現された宇宙の物質分布に人工的な数値ノイズが混入するという大きな問題があります。

本研究成果によって、ニュートリノの集団的な運動の様子を正確に調べることができるようになり、ニュートリノの質量を正確に測定するための理論モデルの構築が可能となりました。

本研究成果は、2020年11月30日に、国際学術誌「The Astrophysical Journal」に掲載されました。

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図:宇宙大規模構造形成における、ニュートリノ(左)とダークマター(右)の密度分布。

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