2020-12-04 京都大学
井上峻介 化学研究所助教、橋田昌樹 同特定准教授、中宮義英 同研究員、阪部周二 名誉教授の研究グループは、高強度短パルスレーザーで駆動される電子ビームを用いて、ジッターフリーな超短パルス電子源の開発に成功しました。また、この電子パルスを用いた超高速の電磁場観察に成功しました。
あるとても短い時間のうちに起こる現象をとらえるためには、それと同等の時間だけ照らすことのできるパルス幅が非常に短い量子ビームを用います。この短パルス量子ビームの中でも、特にエネルギーが数10keV(キロ電子ボルト)から数100keVの電子パルスは、溶解や凝固、化学結合の切断・結合といったピコ秒(ps:ピコは1兆分の1)からフェムト秒(fs:フェムトは1000兆分の1)の間に変化する内部構造変化や超高速に変化する電磁場など、様々な超高速現象を観測する研究への応用が期待されています。今回、パルス幅が100fsを下回る、世界最高性能を有する電子パルスの開発に成功しました。また、この電子パルスを使って、光パルスが真空中を光速で飛行している様子を撮影することに成功しました。
本研究成果は、超短パルス電子を利用した超高速な物質の構造解析法や、ハイスピードな電磁場カメラなどの実現に貢献することが期待されます。
本研究成果は、2020年11月23日に、国際学術誌「Scientific Report」に掲載されました。
図:本研究のイメージ図
研究者情報
研究者名:井上峻介
研究者名:橋田昌樹