令和元年度アスベスト大気濃度調査結果について

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2020-10-09 環境省

環境省では、アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止を検討するための基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するため、平成17年度から毎年、大気中のアスベスト濃度を調査しています。今般、令和元年度の調査結果を取りまとめましたので、お知らせします。
令和元年度は全国39地点で測定しました。多くの地点において、アスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度について特に高い濃度は見られませんでした。一方、旧石綿製品製造事業場等及び一部の解体現場等においてアスベスト繊維数濃度について高い濃度が見られたため、関係省庁、自治体、事業者への指導等を行うとともに、令和2年度も継続して調査を行うこととしています。

1 調査目的

本調査は、平成17 年12 月27 日付け「アスベスト問題に係る総合対策」(「アスベスト問題に関する関係閣僚による会合」決定)に基づき、 アスベストによる大気汚染の状況を把握し、今後のアスベスト飛散防止対策の検討に当たっての基礎資料とするとともに、国民に対し情報提供するために実施したものです。

2 調査方法

(1) 調査地点

調査は、環境省が平成17 年度から調査している継続調査地点32 地点、自治体から推薦のあった令和元年度調査地点7地点の全国39 地点で、大気中のアスベスト及びその他の繊維を含む総繊維数濃度を測定しました。

調査地点を、解体現場等の発生源周辺地域及び発生源の影響を受けない住宅地域等のバックグラウンド地域としております。

 

調査区分 調査時期 調査
地点
発生源周辺地域

調査地点内訳

バックグラウンド地域

調査地点内訳

旧石綿製品製造
事業場等
廃棄物
処分場等
解体現場 破砕施設 蛇紋岩
地域
高速道路及び幹線道路沿線 住宅地域 商工業
地域
農業地域 内陸山間
地域
離島地域
継続

調査

地点

第1期調査:令和元年7月~10月
第2期調査:令和元11月~令和2年3月
32 1 2 3 6 7 5 1 3 4
平成30年度
調査地域
年1回 7 3 4

(2) 調査方法

試料の採取及び分析は「アスベストモニタリングマニュアル(第4.1 版)」(平成29 年7月 環境省水・大気環境局大気環境課)に基づいて行いました。採取した試料については、位相差顕微鏡を用いてアスベスト以外の繊維を含む総繊維数濃度を測定しました。総繊維数濃度が1本/L を超過した場合は、分析走査電子顕微鏡(A-SEM)でアスベスト繊維数濃度を測定しました。

3 調査結果概要について

(1) 位相差顕微鏡法による地域分類別の総繊維数濃度結果

地域分類別に測定結果を取りまとめると表1のとおりとなりました。なお、参考として、解体現場における集じん・排気装置排気口等での調査結果についても併せて示しています。
ア 発生源周辺地域
調査を実施した19 地点について、地域分類ごとの幾何平均値は、総繊維数濃度が1本/L を超過しませんでしたが、「旧石綿製品製造事業場等」の1地点、「廃棄物処分場等」の3地点及び「解体現場」の3地点において、総繊維数濃度が1本/L を超過したため、A-SEM でアスベスト繊維数濃度を測定しました。

イ バックグラウンド地域調査を実施した20地点については、総繊維数濃度が1本/Lを超過した地点はありませんでした。

表1 令和元年度 位相差顕微鏡法における地域分類別の総繊維数濃度結果

注1)検出下限値は0.056本/L(ただし、解体現場の検出下限値は0.11本/L)

注2)解体現場等:建築物又は工作物の解体、改造又は補修作業現場施工区画周辺:解体現場等の直近で一般の人の通行等がある場所との境界

注3)解体現場等(施工区画周辺)以外の地域については3日間の幾何平均値で評価

(2) 継続調査地域における調査結果の推移

継続調査地域における令和元年度調査結果は表2のとおりです。また、発生源周辺地域及びバックグラウンド地域それぞれの継続調査地域における総繊維数濃度の推移(平成17 年度~令和元年度)は図1-1、図1-2のとおりです。近年では、全ての地点で総繊維数濃度の幾何平均値は1本/L を下回っており、低いレベルで推移しています。

表2 継続調査地域における令和元年度調査結果

注1)各測定箇所の総繊維数濃度の評価に当たっては、平成元年12月27日付け環大企第490号通知「大気汚染防止法の一部を改正する法律の施行について」に基づき、各測定箇所で3日間(4時間×3回)測定して得られた個々の測定値を測定箇所ごとに幾何平均し、その値を総繊維数濃度としている。

注2)調査地域の分類に当たっては、過去の調査結果においては異なる分類を行っていた地域もあるが、令和元年度の調査地域に合わせて分類した。

(3) 総繊維数濃度が1本/L を超過した試料に関しての分析走査電子顕微鏡法によるアスベスト分析結果及び対応

位相差顕微鏡法による測定の結果、継続調査地域及び令和元年度調査地域のうち、総繊維数濃度が1本/L を超えた7地点については、A-SEM によるアスベスト測定を行いました。この結果、「旧石綿製品製造事業場等」の1地点、「解体現場等」の1地点及び「廃棄物処分場等(破砕施設)」の1地点でアスベスト繊維数濃度が1本/L を超過しました。このうち、「旧石綿製品製造事業場等」では、アスベスト繊維数濃度が1本/Lを超過して確認されている地点は、第2期調査の工場南側で多く確認されました。今後も事業者などの協力を得ながら、測定箇所周囲の状況についても調査するなど、調査を充実することとしています。なお、アスベスト繊維数濃度が10 本/L を超過する高濃度で観測されたため、関係省庁、関係自治体、事業者に連絡し、事業者はその後同地点で測定を行いましたが、高濃度のアスベストは観測されませんでした。また、「解体現場等」では、セキュリティゾーン近傍でアスベスト繊維が確認された原因として、作業員の不適切な出入りが想定されたことから、所管する自治体に通報するとともに、自治体が事業者に対し施工の管理について指導しました。
最後に、「廃棄物処分場等(破砕施設)」については、発生源近傍で1本/L を超過しました。破砕施設の周囲は林に囲まれ、敷地境界からはアスベスト繊維数濃度が1本/L を超過して検出されませんでした。なお、本地点については、自治体から事業者に対して廃棄物受入時にアスベスト含有廃棄物の有無の確認や、散水による粉じんの飛散防止を徹底することを指導済みです。なお、この他の地点では、アスベスト繊維数濃度が1本/L 以下でした。

表3 総繊維数濃度が1本/Lを超過した試料のA-SEM測定結果(1)

4 今後の対応

環境省では、引き続きアスベストによる大気汚染の状況を把握するため、令和2年度も大気中のアスベスト濃度調査を行う予定です。

5 別添資料

別添1、別添2及び参考資料は、http://www.env.go.jp/press/108517.html を御参照
ください。
別添1 位相差顕微鏡法によるアスベスト大気濃度調査の計数結果
別添2 継続調査地域における令和元年度調査結果の比較
参考資料 地方公共団体における調査結果

連絡先
環境省水・大気環境局大気環境課
課長  長坂 雄一
課長補佐  石山 豊
係長  藤沢 弘幸

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