世界種子貯蔵庫のある北極圏スバルバル諸島で史上最高21.7度観測

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2020-07-31 国際農研

2020年7月26日、AFPは、北極点から約1000キロに位置するノルウェー領スバルバル諸島(Svalbard Islands)において、25日、史上最高気温の21.7度を観測したこと報じました。報告書「2100年のスバルバルの気候(Climate in Svalbard 2100)」によると、同諸島での2070〜2100年の平均気温は、温室効果ガスの排出量に応じて7〜10度上昇するとみられています。同報告書によれば、1971〜2017年に既に3〜5度の気温上昇が観測されているそうです。

スバルバル諸島には、グローバル作物多様性トラスト(GCDT)によって、2008年から世界各地の種子を保管しているスバルバル世界種子貯蔵庫(Svalbard Global Seed Vault)も設置されています。世界種子貯蔵庫は、戦争、内紛、自然災害といった危機的状況から、また設備故障や管理ミスといった危険から現存のジーンバンクを保護するために、バックアップの遺伝資源を安全に収蔵する施設で、何らかの地球規模の大惨事の際、農業を立て直す手段として、種子などの状態で400万種の農業作物を貯蔵できるように設計されています。 しかし、 この貯蔵庫は2016年、永久凍土の融解によって水が流れ込み、2000万ユーロ(約25億円)相当の修復作業が必要となりました。

グローバル作物多様性トラストは、2004年、世界レベルの食糧安全保障のために、国連食糧農業機関(United Nations Food and Agriculture Organization、FAO)と国際農業研究機関のネットワークであるCGIARの連携によって、作物多様性の保存とその利用可能性の確保を目的とする独立した国際機関として設立されました。将来、農業が気候変動に適応し水資源とエネルギーの制約に対応していくためには、作物多様性が中枢の役割を担うことになります。今回の史上最高気温を記録した気候状況が貯蔵庫の維持に支障をきたすのであれば、作物多様性に基づく農業生物基盤そのものを脅かしかねません。

国際農研の岩永理事長は、世界種子貯蔵庫の提唱に関わり、その実現のための資金獲得に尽力しました。2020年初頭からは、グローバル作物多様性トラスト執行理事にも任命され、グローバル化・気候変動の進行に直面する国際社会において、貴重な作物遺伝資源の種子等の保護と管理に関する持続的かつ公平な運営・分配の仕組みについて提言を行っています。

参考文献

AFP. 北極圏スバルバル諸島で史上最高気温、21.7度を観測  2020年7月26日https://www.afpbb.com/articles/-/3295671

Phys.Org. Highest-ever temperature recorded in Norwegian Arctic archipelago July 26, 2020. https://phys.org/news/2020-07-highest-ever-temperature-norwegian-arctic-…

(文責:研究戦略室 飯山みゆき)

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