(Australian researchers record world’s fastest internet speed from a single optical chip)
2020/5/22 オーストラリア連邦・モナシュ大学
・ モナシュ大学、スインバン大学および RMIT 大学から成る研究チームが、光周波数コム(マイクロコム)を集積したシングルオプティカルチップソースで 44.2Tb/s のインターネットデータ速度を達成。高画像動画 1,000 本を一瞬でダウンロードする、世界最高記録となる。
・ 同技術は、メルボルンの 180 万世帯へ、ピーク時には世界の数十億世帯への高速インターネット同時回線を支援するもの。今回、既存の通信インフラを利用したネットワークの実地試験で高速度を実証した。
・ 80 個のレーザーを 1 個の光周波数コムで代替した新デバイスのシングルオプティカルチップは、従来型の遠隔通信用ハードウェアよりも小型で軽量。これを豪州の全国ブロードバンド網計画(NBN)が使用するものと同等の既存インフラに埋め込んで試験を実施。マイクロコムの実地試験での使用と、シングルオプティカルチップが発する最大容量のデータのマイクロコムによる保持の実証は今回が初となる。
・ 新型コロナウィルスの世界的流行により、インターネットを通じたリモートワークやコミュニケーション等の需要が高まったことで、インターネット接続容量のスケールアップが必要となっている。同技術の実証は、既存の光ファイバーが、通信ネットワークの基幹を形成する高速大容量回線となり得ることを示唆。将来のニーズに見合うスケールに拡張できる技術を開発した。
・ RMIT の Melbourne City Campus とモナシュ大学の Clayton Campus 間に敷設した 76.6km のダークファイバー(予備回線)((AARNet: オーストラリア学術研究ネットワークが提供)に、スインバン大学提供のマイクロコムを配置。シングルチップが発する数百本の高品質赤外レーザー光が個別の通信チャネルとして機能する。これらの各チャネルに最大量のデータを送り、4THz の帯域幅でピーク時のインターネット利用をシミュレートした。
・ 44.2Tb/s のデータ速度達成は、豪州のインフラのポテンシャルを明示するものと考える。まず、データセンター間での超高速通信に、その後は同技術の充分な低コスト化と小型化により、世界中の都市で商業用途への展開を想定。
・ サイズ、重量やコストを増加することなく、現在のトランスミッタを数ギガバイト/s から数テラバイト/s にスケールアップすることが長期的な目標。既存の光ファイバーリンクにて最低限のコストで、このレベルのデータ速度を可能にするフォトニックチップの開発を目指す。
URL: https://www.monash.edu/news/articles/australian-researchers-record-worlds-fastestinternet-speed-from-a-single-optical-chip
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Nature Communications 掲載論文(フルテキスト)
Ultra-dense optical data transmission over standard fibre with a single chip source
URL: https://www.nature.com/articles/s41467-020-16265-x
Abstract
Micro-combs – optical frequency combs generated by integrated micro-cavity resonators – offer the full potential of their bulk counterparts, but in an integrated footprint. They have enabled breakthroughs in many fields including spectroscopy, microwave photonics, frequency synthesis, optical ranging, quantum sources, metrology and ultrahigh capacity data transmission. Here, by using a powerful class of micro-comb called soliton crystals, we achieve ultra-high data transmission over 75 km of standard optical fibre using a single integrated chip source. We demonstrate a line rate of 44.2 Terabits s−1 using the telecommunications C-band at 1550 nm with a spectral efficiency of 10.4 bits s−1 Hz−1. Soliton crystals exhibit robust and stable generation and operation as well as a high intrinsic efficiency that, together with an extremely low soliton micro-comb spacing of 48.9 GHz enable the use of a very high coherent data modulation format (64 QAM – quadrature amplitude modulated). This work demonstrates the capability of optical micro-combs to perform in demanding and practical optical communications networks.