すばる望遠鏡、銀河同士の衝突でできたジェットを撮影

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2020-04-22 自然科学研究機構

国立天文台などの国際研究チームは、すばる望遠鏡を用いた観測から、2つの銀河が合体してできた相対論的なジェットを撮影することに成功しました。このようなジェットが楕円銀河で見られることはこれまでにも知られていましたが、今回研究チームは、2つの若い渦巻き銀河が合体し、これによりジェットが形成されたことを示す画像を得ることができました。

すばる望遠鏡、銀河同士の衝突でできたジェットを撮影 図

図1: 別の渦巻き銀河と衝突して相対論的なジェットを発生させているセイファート1銀河「TXS 2116-077」(右) の近赤外線画像。すばる望遠鏡に搭載された近赤外線カメラ IRCS と補償光学装置 AO188 によって2018年6月16日に撮影されました。(クレジット:Vaidehi Paliya)


研究チームは、すばる望遠鏡に搭載された近赤外線カメラ IRCS と補償光学装置 AO188 を用いて、「TXS 2116-077」として知られているセイファート1銀河が、同じような質量の別の銀河と2回目の衝突をしているところを捉えました。
研究チームメンバーの一人である国立天文台ハワイ観測所のス・ヘウォンさん (すばる望遠鏡フェロー) は、「すばる望遠鏡の高い解像力により、ジェットを放出するこの銀河が、合体途上にあり、隣の銀河と4万光年まで近づいている (注1) 様子を始めて捉えることができました。これらは銀河合体の最終段階にあるようです」と、すばる望遠鏡の観測の重要性を強調しています。
研究チームは、すばる望遠鏡の観測に続いて、スペイン沖合のラ・パルマ島にあるカナリア大望遠鏡とウィリアム・ハーシェル望遠鏡、そして NASA の チャンドラ X 線観測衛星を使い、この研究を進めました。
本研究成果は2020年4月1日 (世界時) 付で米国天文学会の天体物理学誌『アストロフィジカル・ジャーナル』に掲載されました (Paliya et al., 2020, “TXS 2116−077: A Gamma-Ray Emitting Relativistic Jet Hosted in a Galaxy Merger”.
(注1) 我々の住む天の川銀河の直径は 10 万光年。これら二つの銀河は、天の川銀河の大きさよりもはるかに小さい距離まで、互いに近づきつつあることを意味しています。なお、これらの銀河までの地球からの距離はおよそ 43 億光年です。これほど遠距離の天体が4万光年離れて合体しつつある様子を捉えられたのは、すばる望遠鏡の高い解像力のおかげです。

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