(Energycane produces more biodiesel than soybean at a lower cost)
2021-07-06 アメリカ合衆国・イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校
・ イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校が、エナジーケーン(エネルギー生産用のサトウキビ)について、効率的な燃料抽出のための処理方法の課題に関する 4 件の研究結果を発表。
・ これら 4 件の研究では、化学物質を使用しない前処理技術、ハイスループットフェノタイピング技術の開発および多様なシナリオにおける商業規模でのエナジーケーン燃料生産の技術的・経済的な実施可能性について調査した。
・ これらの研究は、同大学の ROGUE(Renewable Oil Generated with Ultra-productive Energycane)プロジェクトの一環として実施。同プロジェクトでは、1 エーカー当たりの産業用植物油生産量の大幅な増加を目指し、エナジーケーンの葉・茎でのトリアシルグリセリド(TAGs)の蓄積のバイオエンジニアリングに重点的に取り組む。
・ 第一の研究結果では、糖をバイオ燃料に転換する酵素の働きを阻害してバイオ燃料の品質を損なわせる化合物の生成を抑制した、環境に優しい化学物質フリーの前処理技術について報告。温度・時間間隔の 9 パターンの組合せを使用した前処理技術を試験し、最適な条件下での化学物質による前処理技術と同等の 90%超のセルロース転換を達成した。
・ 第二の研究結果では、第一の研究結果を基に温度、酵素阻害物質と糖の回収の関連性の調査について報告。糖の回収への影響無く阻害物質の発生を極力抑える条件を最適化する、多様な温度範囲でのバイオマスの前処理を実施。また、液体窒素でバガスを処理する低温粉砕プロセスの追加により、他の精製プロセスに比べて糖(主にキシロース)の回収を約 10%向上。品質保持が重要なスパイスやエッセンシャルオイルの製造に使用されるプロセスを、バイオ燃料生産に初めて応用した。
・ 第三の研究結果では、時間領域核磁気共鳴技術(TDNMR)を使用した脂質状態の変化のモニタリングによる、物理的・化学的前処理後の脂質の安定性と回収について報告。
・ 第四の研究結果では、遺伝子組み換えエナジーケーンバイオリファイナリの商業規模での技術的・経済的な実施可能性の調査について報告。2 通りのシナリオによる生産プロセスをコンピューターモデルでシミュレートし、大豆ベースのバイオディーゼルと比較した設備投資、生産コストおよび生産量を特定。設備投資は大豆よりも高コストとなるが、生産コストが 66~90 セント/ℓと低くなること、また、土地面積当たりのバイオディーゼル生産量が大豆の 5 倍となることを提示。
・ 多年生のエナジーケーンは、 年間を通じた作物栽培でダメージを受けた土地での栽培に最適。本研究では、1 エーカー当たり年間 7.5 バレルのバイオディーゼル生産の可能性を示唆。現行の土地利用を超える高い収益性を見込みながら、米国の 2050 年までの温室効果ガス排出ゼロ目標達成にも貢献する。
URL: https://aces.illinois.edu/news/energycane-produces-more-biodiesel-soybean-lower-cost
<NEDO海外技術情報より>
(関連情報)
Energies 掲載論文(フルテキスト)
Chemical Free Two-Step Hydrothermal Pretreatment to Improve Sugar Yields from Energy Cane
URL: https://www.mdpi.com/1996-1073/13/21/5805
(関連情報)
Bioresource Technology 掲載論文(アブストラクトのみ:全文は有料)
Balancing sugar recovery and inhibitor generation during energycane processing: Coupling cryogenic
grinding with hydrothermal pretreatment at low temperatures
URL: https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0960852420316989?via%3Dihub
(関連情報)
GCB Bioenergy 掲載論文(フルテキスト)
Development and validation of time-domain 1H-NMR relaxometry correlation for high-throughput
phenotyping method for lipid contents of lignocellulosic feedstocks
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gcbb.12841
(関連情報)
GCB Bioenergy 掲載論文(フルテキスト)
Techno-economic feasibility analysis of engineered energycane-based biorefinery co-producing
biodiesel and ethanol
URL: https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/gcbb.12871