2020-10-14 京都大学
Rui Pang 工学研究科博士課程学生(現・産業技術総合研究所博士研究員)、寺村謙太郎 同准教授、田中庸裕 同教授の研究グループは、水と光を使って二酸化炭素を有効な資源にリサイクルする光触媒の合成に成功しました。
水(H2O)を電子源とする二酸化炭素(CO2)の光還元は、植物が行う光合成を模倣したCO2再資源化システムであり、いわゆる人工光合成の一つとしてよく知られています。このシステムの問題点は、(1)生成する生成物が微量であること、(2)H2Oが電子源として機能しないこと、(3)CO2ではなくH2Oが光還元されてしまうことでした。つまり、CO2はかなり安定な分子であるため、H2Oを使ってCO2を還元しようとしても、CO2は傍観者となり、H2Oのみが還元されてしまいます。
今回本研究グループが開発した光触媒を使うと、H2Oが電子源として機能し、CO2を選択的に還元して一酸化炭素へと還元できることを見出しました。CO2が還元される効率(転化率)は1.2%に達し、H2OではなくCO2が還元される効率(選択率)は95%でした。これは他の報告例に比べて非常に高い効率です。
本研究成果は、2020年10月9日に、国際学術誌「Communications Chemistry」のオンライン版に掲載されました。