2020-07-10 京都大学
吉田寿雄 人間・環境学研究科教授、藤田健一 同教授、山本旭 同助教、朴素暎 同博士課程学生、丁在瑛 同博士課程学生らの研究グループは、酸化チタン光触媒を用いたアンモニア水を窒素源とする第一級アミンの新しい合成方法を開発しました。
アミンは、医薬・農薬・染料などの様々な化合物を合成する際に利用される重要な化合物です。ヒドロアミノ化反応は、アルケンにアミンを付加させて新たなアミン類を得る方法として広く研究・開発されてきましたが、この方法ではアミンの代わりにアンモニアを用いることができないために、第二級・第三級アミンを得ることはできても、第一級アミンを合成することは困難でした。そこでアンモニアをつかった新たな合成法の開発が切望されてきました。
本研究で開発した手法において、少量の金属を添加した酸化チタン光触媒を用いると、入手が容易で取り扱いやすいアンモニア水を使って、アルケンにアンモニアを直接付加させることにより、高効率かつ選択的に第一級アミンを合成できます。しかも、合成価値の高い有機鎖の末端にアミノ基を有する第一級アミンを高い選択率で得ることができます。この方法により、これまでは合成が困難であった第一級アミン類を簡単に得られるようになるため、今後、様々な新しい化合物の合成手段としての発展や、合成ルートの開発研究等における大きな波及効果が期待されます。
本研究成果は、2020年7月9日に、国際学術誌「Journal of the American Chemical Society」のオンライン版に掲載されました。
図:本研究のイメージ図