飲食や宿泊など交通以外のサービスのデータ連携機能も開発
2019-12-02 新エネルギー・産業技術総合開発機構
NEDOの「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業」で、(株)MaaS Tech Japanは、多様なモビリティを「1つのサービス」として統合するモビリティサービス(MaaS)の実現に向け、複数交通事業者間の異なるシステムのデータをシームレスに(継ぎ目なく)共有し、分析できる移動情報統合データ基盤の開発を開始します。
本事業では、交通系データプラットフォームとして、本データ基盤上でのMaaS向けサービス開発の促進を目指し、異なる交通事業者のデータの収集・蓄積および解析が容易にできる機能の開発、人工知能(AI)を活用した鉄道やバスなどの遅延・混雑予測機能を開発します。
さらには、飲食や宿泊など交通事業者以外のその他事業者などのデータ連携機能の開発にも取り組み、業界を超えたデータ連携を加速させることで交通事業にとどまらない周辺領域における交通データを利活用した新たなサービス創出の環境構築を目指します。
図 移動情報統合データ基盤
1.概要
政府は、「Society 5.0※1」を実現するため、IoTや人工知能(AI)などさまざまなテクノロジーによって新たな付加価値の創出や社会課題の解決を目指して、「Connected Industries」政策を推進しています。「Connected Industries」重点5分野の一つである「自動走行・モビリティサービス」分野では、多様なモビリティを「1つのサービス」として統合するモビリティサービス(MaaS:Mobility as a Service)が世界的に拡がっています。日本でも、複数交通事業者間や交通事業者とその他事業者などの間で連携した実証レベルの取り組みが増えつつあります。現在、日本では都市における渋滞・混雑、過疎地域での公共交通維持、高齢者の免許返納など、モビリティに関するさまざまな課題を抱えており、MaaSは新たなソリューションとして期待されています。
しかし、交通事業者ごとに公共交通の情報を共有するためのフォーマットは複数存在するものの、時刻表、駅情報、バス停情報、在線情報、運行情報といった情報の種類ごとにまとめられているため、これらを包括的に組み合わせた遅延予測などの高度な解析には、膨大なデータの事前処理が発生し、MaaSに不可欠な複数の交通事業者間をまたいだ迅速で円滑なデータ活用が実現しにくくなっています。
このような背景のもと、今般、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の横断型AIシステムと業界共用データ基盤の連携開発を支援する「Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業※2」で株式会社MaaS Tech Japanは、複数交通事業者間の異なるシステムのデータをシームレスに(継ぎ目なく)共有し、分析できる移動情報統合データ基盤の開発を開始します。
本事業では、交通系データプラットフォームとして本データ基盤上でのMaaS向けサービス開発の促進を目指し、異なる交通事業者のデータを収集・蓄積する機能、簡易にデータ解析できる統計処理機能やダッシュボード機能を開発します。さらに、蓄積したデータを基にAIを活用した鉄道やバスなどの遅延・混雑予測機能を開発します。
また、飲食、物販、宿泊など交通以外のサービスのデータ連携機能の開発にも取り組み、業界を超えたデータ連携を加速させることで、交通事業にとどまらない周辺領域における交通データを利活用した新たなサービス創出の環境構築を目指します。
2.採択テーマと助成事業者
- 事業名:
- Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業/業界横断型AIシステムと業界共用データ基盤の連携開発/移動情報統合データ基盤の構築
- 助成先:
- 株式会社MaaS Tech Japan
- 事業期間:
- 2019年度から最長2021年度
【注釈】
- ※1 Society 5.0
- 第5期科学技術基本計画(2016年1月22日閣議決定)において、日本が目指すべき未来社会の姿として提唱された概念で、狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続くものとして、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、社会課題の早期解決と新産業の創出を両立する新たな社会を指します。
- ※2 Connected Industries推進のための協調領域データ共有・AIシステム開発促進事業
- Connected Industries重点5分野を中心に、海外や他分野に横展開可能で、スタートアップなどの新規プレーヤーに開放的なデータエコシステムの構築につながる業界横断型AIシステムの開発と業界共用データ基盤の開発を通じて、AIシステムとデータプラットフォームが一体となったAI・データエコシステムの成功事例を創出し、国内企業にとどまらない幅広いデータ連携による価値の創出を促進します。
3.問い合わせ先
(本ニュースリリースの内容についての問い合わせ先)
NEDO IoT推進部 担当:岩崎、大宮、工藤
(その他NEDO事業についての一般的な問い合わせ先)
NEDO 広報部 担当:坂本、中里、佐藤