手紙が正しく届くのはNECの「目」があるから~住所読み取る技術、世界50か国で進化~ | テック・アイ技術情報研究所

手紙が正しく届くのはNECの「目」があるから~住所読み取る技術、世界50か国で進化~

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2024-10-09 NEC

郵便物があて先通りにスムーズに届けられる、この当たり前のような生活に、NECが磨き上げた技術とシステムが一役買っています。「郵便自動化システム」「全自動郵便処理システム」などと呼ばれるこの仕組みは、消印の印字から住所を読み取って仕分ける作業までを自動で担い、半世紀以上に渡って日本の郵便を支えてきました。あて先を読み取る技術を磨き続けてきたNECだからこそできることがある。細やかなアップデートと確かな認証技術で、このシステムは今や日本発祥のインフラとして世界各国に広がっています。

半世紀前スタート 「目を持ったAI」で郵便仕分け

目を持ったAIの登場
NEC本社にある技術やビジネスを紹介する施設「NEC Future Creation Hub」の一角にある表記です。タイトル以下、こう続きます。
生物が目を持つことで進化を遂げたように、今日のAIも目を持つことで、社会や生活を大きく変えていく。NECは(中略)はがきに書かれた手書きの文字を読み取る全自動郵便処理システムを開発。そこから今日のAIに連なる指紋認証や顔認証などへと発展していく
AIの歴史の一つに位置付けられたこのシステムは、50年以上前に誕生しました。
郵便物の仕分けは、長らく手作業によって行われていました。高度経済成長期に郵便物の量が急増して自動化のニーズが高まり、1968年の郵便番号制度開始に合わせて、NECなどの民間企業と郵政省(当時)が共同で、郵便番号3桁を読み取って自動的に仕分ける機械を開発しました。この機械は印刷または手書きの文字を光学的に読み取ってデータ変換する技術「OCR」の進化とともに発展。今は部屋番号など住所も読み取れるようになっています。

手紙が正しく届くのはNECの「目」があるから~住所読み取る技術、世界50か国で進化~
大型郵便物を高速に自動仕分けする「フラットソータ」

自動化のシステムは消印を押す機械や、住所を読み取って区分けする機械など複数の機械で構成されています。A4サイズを取り扱う機械だと、その幅50メートル以上。郵便自動化システムを取り扱う企業は日本ではNECも含め2社のみで、例えばA4など大型書状の区分機ではNECのシェアは9割にのぼります。半世紀の間、NECがこの分野で存在感を発揮し続けているのはなぜか。そのヒントがNEC Future Creation Hubの文章に潜んでいます。

認証技術アップデート 時代に合わせて仕組みも進化

「結局のところ、認証技術をずっと磨き続けてきたNECだから、郵便自動化システムも続いているんだと思います」。NECで長年このシステムの海外プロジェクトを担当している鳥羽瀬正充はそう語ります。スマートフォン1台で文字認識ができる時代ですが、イラストの中にある文字や、読みにくい文字を正確に読み取るなど、NECは精度を磨いてきました。処理速度は半世紀前に比べると倍以上で、今は1時間4万~5万通処理できるようになり、漢字一文字の認識率は99.5%以上となっています。


文字の重なりや罫線などのノイズにも対応して精度が向上

時代とともに変化する郵便のニーズに合わせ、NECはシステムを発展させてきました。1998年には郵便番号が7桁になるのに伴い、配達順路に沿って郵便物を自動で並べ替えられるようになり、配達がぐっと効率化。引っ越しの際によく使う転送処理も、2017年から自動で転送シールを貼ることができるようになりました。配達物の多様化に対応し、はがきや手紙の「書状」だけでなく小包やパケットに対応した機械も納入しています。

海外の言語や制度にも対応「戦後日本のイノベーション」

このシステムは「戦後日本のイノベーション100選」(公益社団法人発明協会)にも選ばれ、インスタントラーメンや新幹線などとともに日本が誇るイノベーションに位置付けられています。海外にも輸出されており、NECだけでもこれまで欧州から米国、アジアなど世界にまたがる50以上の国・地域に納入しています。
海外の言語や制度が日本とは異なるのは言うまでもありません。各国の制度や言語に合わせたアップデートも続けています。例えば香港では、長らく住所は英語表記が主流でしたが、漢字住所の郵便物の増加に合わせて漢字も自動処理できるように2017年に更新。スイスでも同時期に更新しています。


スイスに納入した郵便自動化システム

システムの更新や受注で世界各国を回る鳥羽瀬は、出張先の国から日本の家族宛に手紙を出すのが習慣だといいます。家に届いていることを確認するたびに「(このシステムを)ちょっと家族に自慢したいような気持ちになるんですよね」。
明治維新の時期に始まった日本の郵便事業。「日本近代郵便の父」といわれる前島密は、身分や肩書に関係なく、誰もが平等に使える郵便制度をめざしていたといいます。「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現」をPurpose(存在意義)に掲げるNECもまた、世界の郵便をテクノロジーの力で支え続けています。

1600情報工学一般
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