2023-05-12 産業技術総合研究所
ポイント
- レベル4自動運転車両の道路交通法上に基づく特定自動運行の国内で初めての許可
- 車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での自動運転(特定自動運行)が可能
- ドライバー不足や交通弱者への対応と地域の活性化に交通手段として貢献
概要
国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下「産総研」という)は、2021年度より経済産業省および国土交通省の「無人自動運転等のCASE対応に向けた実証・支援事業(自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実証プロジェクト(テーマ1:2022 年度に限定エリア・車両での遠隔監視のみ(レベル4)で自動運転サービスの実現に向けた取組))」を幹事機関として受託し、永平寺町におけるレベル4の無人自動運転移動サービスの社会実装に向けて、ヤマハ発動機株式会社、三菱電機株式会社、株式会社ソリトンシステムズとともに研究開発を進め、福井県吉田郡永平寺町(以下、永平寺町)、まちづくり株式会社ZENコネクトの協力を得て、自動運転移動サービスの車両実装のための実証を進めてきました。
産総研 情報・人間工学領域 デジタルアーキテクチャ研究センター加藤晋首席研究員は、2023年3月30日に国内で初めて、遠隔監視のみのレベル4の自動運行装置※1を備えた車両として、中部運輸局から永平寺町での走行環境条件の付与の認可を受けておりました(2023年3月31日お知らせ)。これに続き、この車両を用いた運行のための道路交通法に基づく特定自動運行に係る許可申請を、永平寺町のまちづくり株式会社ZENコネクトが、福井県公安委員会に提出していたところ、本年5月11日付けで、国内で初めての許可を取得しました。
今回のレベル4自動運転車両を用いた特定自動運行の許可により、車内にも遠隔地にも運転者がいない状態での運行が可能となります。特定自動運行主任者が3台を運行する予定ですが、常時遠隔監視は不要で、車両が不具合などで自動停止した後の対応をすることとなります。さらに、交通事故時等には現場措置業務実施者が、現場に駆け付けることになっています。
今後は、レベル4でのサービス実証を実施した上で、自家用有償旅客運送の形態にて、永平寺町によるレベル4での自動運転移動サービスの本格運行の開始※2を予定しています。
※1 自動運行装置は特定条件の範囲内で運転者に代わって運転操作を実施。
※2 本年5月21日に、レベル4自動運転移動サービス開始に係る記念式典を、経済産業省・国土交通省と永平寺町の共催にて開催予定。
特定自動運行に係る許可の概要
- 申請者:まちづくり株式会社ZENコネクト
- 特定自動運行用自動車:7人乗りのグリーンスローモビリティ(電動カート公道仕様)に、自動運行装置(ZEN drive Pilot Level 4)を装備し、走行環境条件の付与を受けた車両4台(運行は3台で1台は予備)。
- 運行区間:町道「永平寺参ろーど」荒谷停留所から志比停留所までの約2 Km(京福電気鉄道永平寺線の廃線跡地)
- 運行日時:土日祝日の日中(午前10時始発、午後15時最終で毎時3往復、ただし、12月後半から2月の冬季期間は運休予定)のほか、平日等9時から日没までの間にも、需要に応じて不定期での運行を予定。
- 利用対象者:自力で乗降できる者(町民、来町者問わず)
- 利用料金(片道):大人:100円、中学生以下:50円、未就学児:無料
- 運休となる条件:降雪時、積雪時、路面凍結時、大雨、強風、雷警報の発令時(または発令が予想される時)、震度5以上の地震発生時など
図1 主な自動運行装置の構成
図2 主な遠隔監視装置の構成
本件問い合わせ先
産総研 広報部 報道室