2022-02-14 シャープ株式会社
構造色を持つ重要文化財『油滴天目』(九州国立博物館蔵)
シャープマーケティングジャパン株式会社(本社:大阪府八尾市、代表取締役社長:中山 藤一、以下、SMJ)は、学校法人法政大学 情報科学部 ディジタルメディア学科 実世界指向メディア研究室※1の小池崇文教授の協力のもと、構造色を高精細8Kの3DCGで表現する手法を開発しました。
構造色とは、色素や顔料による発色とは異なり、物体自体は固有の色を持たず、物体表面の微細な構造によって特定の波長範囲の光が反射されることによる発色現象です。見る角度や光の当たり方によって色が変化して見えるのが特徴で、タマムシの外殻やアワビの貝殻、シャボン玉などで見られます。
シャープおよびSMJは、美術品や工芸品、文化財などを8K解像度で3DCG化し、8Kディスプレイ上で細部まで鑑賞できる「8Kインタラクティブミュージアム」を開発。これまで、8Kによる圧倒的な表現力を文化・教育領域で応用し、茶碗や仏像などの鑑賞ソリューションを提案してまいりました。今般、SMJは小池教授の協力のもと、市販の油滴天目茶碗※2を用い、表面の微細構造による光の干渉を分析。光の当たり方で変化する色の再現方法について検証を繰り返し、3DCGで構造色を表現する手法を開発しました※3。これにより、構造色を含むコンテンツの開発が可能となり、8Kの表現力がさらに向上します。SMJは今後も、「8Kインタラクティブミュージアム」のコンテンツの拡充に取り組むとともに、文化資源の8Kデジタルアーカイブ化の促進に貢献してまいります。
なお、愛知県陶磁美術館(愛知県瀬戸市)にて本年3月15日より展示※4される「8K文化財鑑賞ソリューション※5」で、九州国立博物館の協力・監修のもと、本手法を活用して制作した重要文化財『油滴天目』(中国・南宋時代、九州国立博物館蔵)の8K・3DCGコンテンツをご覧いただけます。
愛知県陶磁美術館に展示される「8K文化財鑑賞ソリューション」の鑑賞画面(イメージ)
※1 同研究室に関しては、こちらのWebサイト(https://tk-lab.org/ )をご参照ください。
※2 特殊な技法で焼き上げることで、鉄を主成分とした鉱物が結晶化し、器の内外に油の滴のような小さい斑点模様が見られる茶碗を指します。南宋時代(12~13世紀)に中国南部の建窯(けんよう)で誕生した喫茶茶碗の一種です。
※3 詳細は、シャープのプレスリリース(https://corporate.jp.sharp/news/220314-a.html )をご確認ください。
※4 詳細は、愛知県陶磁美術館のWebサイト(https://www.pref.aichi.jp/touji/index.html)をご覧ください。
※5 「8Kインタラクティブミュージアム」をベースに、独立行政法人 国立文化財機構に属する文化財活用センターおよび東京国立博物館と共同開発した鑑賞ソリューションです。直接手に取ったり、間近で観察したりすることが難しい貴重な美術品や工芸品、文化財などの高精細画像を8Kディスプレイに表示し、画像を拡大・回転させながら細部まで鑑賞できます。
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