平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の地殻変動に関する解説

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2022-03-10 国土地理院

概要

平成23年(2011 年)東北地方太平洋沖地震では、地震直後に牡鹿半島で水平方向に5mを超える地殻変動が観測されたのをはじめ、東日本を中心とする広い範囲で地殻変動を観測しました。そして、その後の「余効変動」と呼ばれる地殻変動は10年以上経過した現在でも継続しています。
地震から11年を迎えるにあたり、これらの地殻変動について改めてまとめました。なお、一部報道等において、「余効変動」の原因が「スロー地震」とされているものもありますが、主な原因は、以下に述べる「余効すべり」、「粘弾性緩和」であると考えられており、南海トラフ等で時々見られるスロースリップ(スロー地震)とは区別されます。

地震時の地殻変動と地震後の余効変動

平成23年(2011 年)東北地方太平洋沖地震の発生により、牡鹿半島で、水平方向で5mを超える地殻変動が観測されたのをはじめ、東日本を中心とする広い範囲で地殻変動を観測しました。その後、余効変動により、牡鹿半島とその周辺では、本震後の10年間で最大約1.5mの変動が観測されています。なお、本震前から10年間の累積では、牡鹿半島とその周辺で6mを超える変動となっています。
また、地震の発生により、東北地方の太平洋沿岸で大きな沈降が観測され、牡鹿半島で、1mを超える沈降が観測されました。その後、余効変動により、牡鹿半島とその周辺では、本震後の10年間で50cmを超える隆起が観測されています。なお、本震前から10年間の累積では、牡鹿半島とその周辺で最大約50cmの沈降となっています。

余効変動の原因

東北地方の太平洋沿岸地域で観測されている、東北地方太平洋沖地震後の余効変動を引き起こす原因としては、主に「余効すべり」、「粘弾性緩和」という二つのメカニズムが考えられています。
「余効すべり」は、地震時に大きくすべった断層の延長上で発生するゆっくりとしたすべりのことです。また、「粘弾性緩和」は、地震による力に対応した地下(主に上部マントル)のゆっくりとした動きのことです。これら二つのメカニズムにより、複雑な動きが生じています。

余効すべり(イメージ)
粘弾性緩和(イメージ)

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震後の地殻変動に関する解説
粘弾性緩和のイメージ

関連リンク

東北地方太平洋沖地震から10年

問い合わせ先

国土交通省国土地理院
測地観測センター 地震調査官 和田弘人
地理地殻活動研究センター 地殻変動研究室長 宗包浩志

1702地球物理及び地球化学
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