国立極地研究所

安価なドローンで高精度気象観測を実現 ~極域の持続可能な観測網の構築へ向けて~ 1702地球物理及び地球化学

安価なドローンで高精度気象観測を実現 ~極域の持続可能な観測網の構築へ向けて~

汎用ドローンに気象センサーを取り付け、代表的な高層気象観測システムであるラジオゾンデ観測に対して、どの程度の誤差で気象観測が可能かを調べました。室内実験から、プロペラのローターやバッテリーの排熱の影響を受けない場所を特定するとともに、回転するプロペラが作り出す下降流で気象センサーに必要な十分な通風が得られる最適な場所を見出しました。また、日射の影響を軽減する気象センサーの放射シールドを開発しました。
海洋由来のエアロゾル粒子が南極海上空の雲の性質に影響 〜衛星観測をもとに解明〜 1702地球物理及び地球化学

海洋由来のエアロゾル粒子が南極海上空の雲の性質に影響 〜衛星観測をもとに解明〜

衛星観測で得られた雲の相状態(水雲か氷雲か)を判別できるデータから、南大洋及び南極大陸沿岸域での氷雲の存在割合を調査しました。夏季には、上空の気温が約-10℃以上の環境下で、ほかの温度帯よりも氷雲の存在割合が高く、海洋生物由来の粒子が氷晶の核となり氷雲の形成を促進している可能性が示されました。一方、冬季には、海から大気へ雲の核となる粒子を大量に供給する波しぶきが形成される強風時に、上空の気温が約-20℃以上の環境下で氷雲の存在割合が高くなることが明らかとなりました。
中国から排出されるブラックカーボンの主要起源は「家庭」 1900環境一般

中国から排出されるブラックカーボンの主要起源は「家庭」

中国から排出されるブラックカーボン(BC)は、主に家庭から排出されていることを解明した。長崎県・福江島で行ったBC濃度の観測結果等の解析から、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響下においても総排出量に大きな変化は認められず、ロックダウンの影響を受けにくい家庭から排出された割合が大きいという結論を得た。
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氷期の南極の硫酸エアロゾルはどこから飛来したのか? ~南米アタカマ砂漠からの寄与~ 1902環境測定

氷期の南極の硫酸エアロゾルはどこから飛来したのか? ~南米アタカマ砂漠からの寄与~

南極ドームふじアイスコアの硫黄同位体比の分析結果から、最終氷期では「陸域」を起源とする硫酸エアロゾルの寄与が大きかったことを明らかにしました。最終氷期における硫酸エアロゾルの起源は、海洋生物活動であったという従来の有力な説と異なります。さらに、同位体比データから、南米のアタカマ砂漠周辺の高地が最も有力な供給源地域であることが分かりました。極度に乾燥した低・中緯度の砂漠に存在する水溶性物質が、南極の硫酸エアロゾルの供給源の一つであることを明らかにしました。
氷に閉じ込められた太古の大気からアルゴンの検出に成功 ~過去の地球環境変動の精密解析への貢献に期待~ 1902環境測定

氷に閉じ込められた太古の大気からアルゴンの検出に成功 ~過去の地球環境変動の精密解析への貢献に期待~

グリーンランド氷床の深部氷中に形成される空気包接水和物(エアハイドレート)結晶中に、太古の大気微量成分であるアルゴンが含有されていることを、新しい検出法を用いて発見しました。
北極海の海氷減少で雲の性質が変化 ~強風による波しぶきにより氷雲の割合が増加~ 1702地球物理及び地球化学

北極海の海氷減少で雲の性質が変化 ~強風による波しぶきにより氷雲の割合が増加~

海洋地球研究船「みらい」の北極海航海で取得した観測データの解析を行い、雲の相状態(水雲か氷雲か)が海上の風や波高で著しく変化することを明らかにしました。しぶきが多量に形成される強風時には、氷晶の核となりうる粒子が海から大気中に多量に供給され、雲の下層部分で氷晶の割合が多くなることが確認されました。
森林火災が北極大気を加熱する黒色炭素粒子の重要な発生源であることを実証 1902環境測定

森林火災が北極大気を加熱する黒色炭素粒子の重要な発生源であることを実証

春季の北極大気中の黒色炭素エアロゾル(BC)濃度の年々変動が、中緯度の森林火災の発生規模の年々変動により強く支配されていることを新たに解明しました。
南極隕石821個を新たに分類 ~Meteorite Newsletter Volume 28を発行~ 1700応用理学一般

南極隕石821個を新たに分類 ~Meteorite Newsletter Volume 28を発行~

南極隕石ラボラトリーは、南極隕石821個を新たに分類し、その結果を掲載した「Meteorite Newsletter Volume 28」を発行しました。今回分類されたのは、Yamato -74、-79、98、00隕石(それぞれ第15、20、39、41次南極地域観測隊で採取)、Belgica 98隕石(39次隊)、Asuka-87、-88隕石(29次隊)、日本とベルギーの共同探査で採取されたAsuka 09および12隕石(それぞれ51と54次隊)です。
札幌の積雪中に存在する光吸収性粒子が融雪に与える影響を国内・国外由来に分離して推定しました 1902環境測定

札幌の積雪中に存在する光吸収性粒子が融雪に与える影響を国内・国外由来に分離して推定しました

雪面が吸収する太陽光を増加させ、融雪を加速する可能性があります。積雪変質モデルと領域気象化学モデルを組み合わせて、2011-2012冬期の札幌の積雪中に存在する光吸収性粒子が融雪に与える影響を国内・国外由来に分離して推定しました。同期間に札幌に到達して積雪内部に取り込まれた全ての光吸収性粒子によって消雪日が15日早められ、その内、国外由来の積雪中光吸収性粒子の寄与が約7割あることが分かりました。
巨大な海洋渦が暖かい海水を南極大陸方向へ運ぶ東南極トッテン氷河を下から融かす主要な熱源 1702地球物理及び地球化学

巨大な海洋渦が暖かい海水を南極大陸方向へ運ぶ東南極トッテン氷河を下から融かす主要な熱源

東南極で最大級の規模を有するトッテン氷河の周辺域では、近年、氷床質量の減少が報告され、また、将来の大規模な氷床流出も懸念されています。水産庁漁業調査船「開洋丸」および南極観測船「しらせ」により実施された大規模な海洋観測で取得した現場観測データと衛星観測データを統合的に解析し、トッテン氷河の沖合に定在する巨大な海洋渦が、比較的温度の高い海水を効率的に南極大陸方向へと輸送していることを明らかにしました。
グリーンランド氷床に飛来するダストの起源 1902環境測定

グリーンランド氷床に飛来するダストの起源

グリーンランド氷床北西部の「SIGMA-Dアイスコア」に含まれる鉱物ダスト(岩石由来の微粒子)の分析を行い、過去100年の間にグリーンランド氷床上に降下したダストの起源について、その連続的な変化を初めて明らかにした。
東南極リュツォ・ホルム湾沿岸でのGNSS観測と地殻変動の検出 1702地球物理及び地球化学

東南極リュツォ・ホルム湾沿岸でのGNSS観測と地殻変動の検出

東南極のリュツォ・ホルム湾沿岸の露岩域で実施したGNSS観測から、当地域が現在隆起していること、またその隆起速度が南北方向に空間的な特徴を持つことを明らかにした。
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